第六十一話 真実
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
かし身体に走る激痛がそれを許さない。
彼はふと、自分こそが世界を目覚めさせる踏み台であることに気づいた。
その役目はシグマが担ったと思っていたが、何のことはない。
自分も踏み台に過ぎなかった。
そう考えたら全てが可笑しくなった。
所詮は神のみぞ知る、ということなのだろう。
しかし、いつか来るだろう。
優れたレプリロイドが覚醒し、“楽園”を築く日が。
不完全なレプリロイドが生まれ、争いは続き、平和など永久に訪れないだろう。
その日々を自分の意志を継ぐ者が現れ、壊すだろう。
そしてレプリロイドだけの楽園を創る。
ルミネとエックス達の描く理想郷はまるで異なる。
だからこそ争い、敗れたのだが。
ルミネ「(まあ、いい…いずれ……分かる…滅びの刻が来るまで、精々…生き長らえるがいい…)」
ファイナルストライクの光に飲まれ、ルミネは完全に消滅した。
そして3人は着地する。
アクセル「…………」
ルナ「アクセル…」
アクセル「ルナ…」
2人の視線が交わる。
ルナの手がアクセルの頬に触れる。
とても暖かい。
そしてアクセルの胸に耳を近づけると、動力炉が動いている音がする。
アクセルが生きている。
それだけで涙が止まらない。
しかし、突如アクセルの身体が崩れ落ちる。
ルナ「アクセル!!?」
咄嗟に支えるルナ。
彼女はとても不安そうにアクセルを見る。
アクセルは疲れたような表情で笑う。
アクセル「少し頑張り過ぎちゃったようだね…」
ルイン「え?」
アクセル「力の使いすぎ…この力は僕の持つ力を限界まで引き上げるんだけど、かなり負担がかかるんだ…昔はずっとこんな身体だったけれど、レッドに拾われた時、防衛プログラムが働いた…使命を思い出した時に、思い出した。」
アクセルのコアが光り、白いボディが黒に変わる。
エックス達が普段目にするアクセルの姿。
ルナ「アクセル……お…れ………私…」
酷く小さく聞こえた単語。
それが本来のルナの口調なのだと気づき、アクセルは安心させるように微笑んだ。
アクセル「少し疲れただけだから、大丈夫…。でも、凄く眠いや…大丈夫…大丈夫…そんな心配しないで……ね…?約束する…から…」
ルナ「うん…約束……だよ…」
アクセルが伸ばした手をルナが握り締めるのと同時にアクセルは眠りに落ちた。
穏やかな寝息が聞こえ、全員が安堵の笑みを浮かべた。
そしてアイリスからの通信が入る。
アイリス『エックス、状況は?』
エックス「こちらエックス。状況は…アクセルが意識を失っているが、大丈夫だ。これより帰投します」
つい先刻まで激戦とは思えない穏やかな声。
こうして21XX年、最後の大戦は幕を下ろした。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ