1部
23話
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「さて、君にも働いてもらおうか」
「……僕は再不斬さん以外の為に働くつもりはありませんよ」
木に全身を縛り付けられているのもの、先ほど猿轡と目隠しを外しまともに喋ることできるようになった白は私の方を虚ろな目で見た。
「ですが、僕はもう再不斬さんの道具にもなれないんでしょうね……せめて殺して貰えませんか?」
「ふむ、道具か…………君の場合は道具以前の問題だ。その様で死ぬなどとほざくようでは殺すにすら値しない存在だぞ?」
「どういう事ですか?」
「自分の何処をどう見て殺人向けの道具などとほざいているんだ?
世界の何処に紙を切ることに躊躇う鋏がいる。
世界の何処に火を点けることを躊躇うライターがいる。
私のような敵ですら殺すことの出来なかった人間が人殺しの道具になろうとすること自体が間違いだ。
いいか、人を殺すというのは淡々と何の感情も交えずに作業とするべきだと私は考えている。
覚悟する暇があるなら一手でも早く相手を殺せ、殺した相手を思い返す暇があるなら腕を磨け、忍など結局のところ他者を殺すだけの存在なんだからな。
その全てを躊躇っている君が人殺しの道具になれないから殺してくれというのは、犬が鳥のように空を飛べないから殺してくれと言っているレベルの滑稽さだぞ?
そもそも、君の能力と性格を考慮すれば諜報や潜入、奪取などの方が向いているだろうに。あまり他人の関係に対して口を出すのは私の主義ではないんだが、流石に君の運用方法に対しては苦言を呈さずにはいられないな。
だが、言い訳をさせて欲しい。私からすれば君の運用方法は包丁を研ぐのに宝石の塊を使っているような、ある種の冒涜のようにしか思えないのだよ
加えて言わせてもらうとすれば、教育の段階から間違えているとすら言えてしまうな。君はどうにも暗殺術や身のこなしに重きを置いた教育を受けたと見えるのだが、君の術を考えればそんなものよりも動体視力を磨きあげるべきだと小一時間ほど説教したくなってくる!!」
「あ、あの……」
「なんだ!?」
「あなたは一体何を怒っているんですか?」
「怒っている?当たり前だ!!
君ほどの才の持ち主が誤った取り扱いをされていることをこうも見せつけられては、いくら私でも怒りを露わにしたくもなる。
これでも私は人を使う側の立場にいた事もあり、そういった事に対する知識も身につけてきた。だからこそ、君が再不斬から離れることが無い事も分かっているし、どうやったところで君を私の元の置くことも出来ないと理解している。
それ故に私はこうして苛立っているんだ!!」
…………いかん、落ち着くんだ私よ。
このまま愚痴をこぼし続けていては、下手をすれば色々と手遅れになってしまいかねん。
「ふぅ…………話を元に戻そう。まず、君に働いてもらうのは再不斬の
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ