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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
追憶-レミニセンス-part1/恋するルイズ
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募らせた…。だがそれは彼女に限った話ではない。当初は地球人であるサイトも、ルイズの我儘やギーシュのガールフレンドに対する対応にものすごい怒りを覚えていたのだから。それに人は星の数に及ばずとも大勢いる。だからその分、貴族に対してどうこうえているか、人それぞれ。どんなに法律で貴族に逆らう事なかれと振れを出しても、貴族に対する悪感情を抱く者がいるのも当然だ。
「では、今度こそ言ってもらおう。あの怪獣は人間の姿に化け貴様の配下となり、貴様の悪事に加担していたな?あの怪獣は貴様の使い魔なのか?」
「ち、違います!実は…ある方からお譲りされたもので…」
「ある方?それは誰だ?言え!!」
「は、はいぃい!!話します!話します!そ、それは…………」
チュレンヌは常々侮り続けていた平民(現在は元だが)のアニエスにすっかり恐怖し、彼女に対して、なぜアンタレスという人間が手に余る力を持つ怪獣を自らの部下として使役することができたのか、そしてそれをいつどのような手段を講じて手に入れたのか…そのすべてをあっさり吐いた。
話を聞き終えると、チュレンヌは直ちに牢獄へぶち込まれた。いずれ貴族の身分を剥奪されることだろう。たとえ許してくださいと牢獄の中でチュレンヌが泣き続けても、その声は決してアンリエッタたちの耳に届くことはない。
部下に彼を獄に入れるよう命じた後のアニエスは、窓の外を眺めていた。夜の闇が辺りを包み込んでいた。その闇の向こうで、ある一件の…チュレンヌの屋敷の何倍もある、豪華すぎて逆に見る者を引かせてしまいそうな立派な豪邸が見える。夜の時間である今も明かりが灯っていて、その豪邸の主が今もなお起きて豪遊を楽しんでいることだろう。果たしてその豪遊を楽しむ者が、その資格があるほど立派な貴族なのか、そうでないのか…それはアニエスの顔を見れば一目瞭然だった。歯噛みし、怒りと憎悪で彼女はその豪邸を睨みつけていた。
「隊長、チュレンヌを獄へつないでおきました…隊長?」
「ん…ああ。ミシェルか」
名前を呼ばれたアニエスは、振り向いて自分の部隊の副長が扉の前に立っているのを確認した。
「何か、お考え事でしょうか?」
アニエスの表情はいつもお堅いから、見る者からすれば感情がほとんど読み取れない。けど、ミシェルはアニエスの片腕として共にいたからだろうか。今の彼女が何かある想いを抱いていたことを読み取った。
「……いや、少し物思いに耽っていただけだ」
そうですか、と静かに呟いたミシェル。あまり触れるべきでないことだと悟り、それ以上は追及しなかった。彼女が扉を開き、立ち去って行く。再び視線を窓の外に見える豪邸に目を向けるアニエス。脳裏によみがえるのは、一つの村を灰に変えながら燃え盛る炎の中で、ただ一人泣き叫ぶ幼き日の自分だった。



数日後、自分は女王として即位する
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