第三十話 南海においてその一
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美しき異形達
第三十話 南海において
薊達は白浜に着いた、まずは旅館に入りその部屋に行った。
そしてその部屋を見てだ、薊は裕香達に言った。
「予想してたけれどな」
「予想って?」
「いや、畳なんだな」
和室だった、旅館の部屋は。
「旅館だから」
「あっ、そのことね」
「ああ、やっぱり旅館だと和室なんだな」
「お布団で寝るのね」
「それでな」
薊は自分の荷物を部屋の端に置きつつさらに話す。
「着るものもな」
「浴衣ね」
「そうなるよな、あたし浴衣好きなんだよ」
「あっ、そうだったの」
「ああ、動きやすいからさ」
「浴衣は確かに動きやすいけれどね」
ここでだ、裕香は少し考える顔になって薊にこう言った。彼女もまた自分の荷物を部屋の端に置いていっている。
「それでもね」
「着崩れするからな、浴衣は」
「寝てる時とかね、特にね」
「それでショーツとか見えるからな」
「そのことは気をつけてね」
「わかってるよ、特にあたしはさ」
自分のことをわかっての言葉だ。
「ガサツだからな」
「自分で言うの?」
「わかってるからさ」
それで、というのだ。
「実際浴衣着て寝たら朝いつも凄いことになってるんだよ」
「それでそう言うのね」
「だから寝る時はさ」
その時はというと。
「気をつけないといけないんだよ、あたしは」
「女の子同士でも?」
「まあ寮だと皆結構下着だけになるよな」
「ええ、女の子しかいないからね」
「下着で寝る娘もいるし」
女同士だとどうしても開放的になってしまう、これは男同士でもだ。
「裸になる娘とかもさ」
「いるからね」
「アイドルでもそういう人いるらしいな」
「らしいわね、どうやら」
「女の子同士だと気兼ねしないからな」
薊は裕香と寮の話もするのだった。
「どうしてもそうなるよな」
「ええ、だからね」
「浴衣がはだけてもか」
「あまり気にならないでしょ」
「いやいや、あたしはさ」
薊はというと。
「それが結構さ」
「気になるの?」
「孤児院でいつも院長さんが言ってたんだよ」
ここでもこの人の名前を出すのだった、薊にとっては親と言ってもいいその人を。
「服はいつもきちんと着なさいってさ」
「女の子同士でも?」
「一人の時でもさ」
服はというのだ。
「絶対にちゃんと着ろって」
「そう言われてたのね」
「だからさ、あたしもさ」
薊もだというのだ。
「服はいつもちゃんと着てるんだよ」
「そういえば薊ちゃんお風呂からあがったらすぐに服着るわね」
「シャツと半ズボンはさ」
最低限、というのだ。
「着てるよ」
「そうよね」
「下着は人には見
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