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101番目の舶ィ語
第二章 消えた花子さん
第六話。俺の妹(従姉妹)とクラスメイトがこんなに可愛いわけがない!
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「いや、ほら。クラスメイトの仁藤キリカ。ちょっと猫っぽい感じの奴」

「ああ……はい」

「あいつに休むって伝えようと思って」

「それには及びませんし、メールもまだ待ってください」

「へ?」

「三枝さんに我々が欠席する旨は伝えてありますし、誰かへのメールによる因果の接続は今暫くお待ち下さい」

「なんだって?」

何故か委員長である三枝さんの名前と、その直後に出た『因果』の言葉に俺は驚いてしまう。
そのまんまマジマジと一之江を観察するが、彼女は意に介した様子もなく、静かにコーヒーを飲んでいる。

……説明はもう少し待て、という事だろうか。
その「もう少し」がどのくらいかはわからないけどな。
そんな事を思っていた、その時______俺達を乗せた車は夜霞市と隣町の月隠市を隔てる大きな川。
『境川』の橋を渡りきった。

「それではお話しします」

「もう、いいのか?」

「はい。夜霞から出ましたからね。月隠に入れば大丈夫です」

「別の市に入ればいいのか?」

「ええ。基本的にロアの影響範囲は街単位ですから」

『ロア』

一之江から出た、その言葉に俺は固まった。
この少女が口にしたそれは、昨日の人形が言っていた言葉で______つまり。

「なあ、一之江……さん」

「何ですか?」

「昨日、俺を追いかけて、襲ってきた人形は……」

「私です」

一之江は悪びれた様子もなく、きっぱりと言い切った。

「私です、ってお前な……」

「お前、とか親しげに呼ばれるのも心外ですが」

「いや、そういう事じゃねえだろ。俺、死ねところだったんだぜ?」

「そうですね」

(そうですね、じゃねえよ!)
と、心の中で突っ込みつつ、会話を続けた。

「お前がやろうとした事は殺人未遂だ!
わかってんのか?」

「わかってますよ。なんなら今日も殺しに伺ってもいいのですよ?」

「お前!」

「すぐに熱くなると、今後生き残れませんよ、一文字疾風」

?みかかりたくなったが、思えば前世ではアリアにバイオレンスな虐待を日常茶飯事にされていたのを思い出し、手を引っ込めた。

(耐えろ、俺。銃撃されて風穴開けられるのに比べたら一度くらい我慢できるじゃないか。なあ、許そうぜ)
そう自分に言い聞かせ、一之江に告げる。

「まあ、今回だけは目を瞑ってやるよ」

「おや。意外と冷静になるのが早いですね」

「まあ、な」

(一々つっかかっては身が持たないからな。俺の心身が)

そのまま、視線を彼女に向けてジッとしていると彼女が「では、そろそろ本題に入りましょうか」と前置きをしてから質問してきた。

「貴方は、『ロア喰い』ですか?
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