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101番目の舶ィ語
第二章 消えた花子さん
第六話。俺の妹(従姉妹)とクラスメイトがこんなに可愛いわけがない!
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彼女の昨日の言葉、昨夜の出来事、そして今朝のこれだ。
言葉の中に懸念が残っていたとしても仕方ないだろう。

「お話があるので付いて来て下さい」

話があるからちょっと面を貸せや!
ということだな。わかりました。

「ああ、いいぞ」

正直、これ以上厄介事に関わりたくないんだが放って置くとさらに厄介な事態になりかねん。経験上。

「って、あれ?」

ってきり学校に向かうとばかり思っていたが一之江が歩き始めた先は学校とは別の方向だ。

「学校には行きません」

「サボるのかよ」

転入してきて日が浅いのにもうサボるとか、案外不真面目なんだな。人の事言えねえけど。

「はい、サボタージュです」

あっさり言い切った一之江。
彼女はサクサクと歩いていく。
その歩調はかなり早い。小さな身体なのにな。
さっきチラッと顔を見たがおデコに冷え◯タみたいな物を貼っていた。
何処かにぶつけたんだろうか?
小さな体付きなのに行動力はあるみたいだ。

「だれの身体つきが小さいですか?
殺しますよ、ハゲ」

「だからハゲてねえよ!」

昨夜した会話みたいな感じで言い合いながら彼女の背中を追いかけていく。
昨日とは立場が逆転したみたいでちょっと楽しい。

そんな一之江の後を追って住宅街を抜け、大通りに出ると俺達の前に黒塗りの車が止まった。
やたら大きな車で後部シートにはスモークが貼られていて中がみえない。
まるで菊代のセンチュリーに乗った時のような状況だ。

「まさかと思うが……」

「乗ってください」

「だよな……お邪魔します」

初老の紳士が後部座席のドアを開けてくれたので仕方なく中に入り座席に座った。
中はやはり広くて、シートはふかふか、コーヒーメーカーやDVDが見れるスクリーンまで付いていた。
車が発車すると一之江がコーヒーを入れてくれた。

「はい、どうぞ。砂糖とミルクはこちらです」

「あ、悪いな」

コーヒーカップを受け取り一口飲む。

「美味い」

普段インスタントしか飲んでないが間違いなく高級な豆を挽いた物だとすぐにわかる。
昔、アリアが俺に出すように命じた魔法の呪文のコーヒーはきっとこんな感じなんだろう。

「えーと……話しって何だ?」

コーヒーを一口飲んでから切り出してみたが______

「まだ言えません」

訪ねた言葉に一瞬で返事が返ってきて、思わず口をつぐんでしまう。

まだ、っていうのはどういう事なんだろうか。

会話らしい会話は続かず終わり、気まずくなった俺はメールを送る為に携帯を取り出した。

「メールですか?」

「ああ。学校休むなら連絡しないと……だろう?」

「どなたにですか?」

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