第7話 シンクレアの悲しい正義
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ードはふと、自分が死んだのだなと感じた。
恐らくそれは間違いといえただろう。
フォードは自分の腕が動かせないことに気がついた。
どうやら、両腕が縛られているようだった。
両腕が縛られている感触がある、ということは生きていることだ。
だが、暗く状況はどうなっているのかはわからなかった。
「う、動かない・・・。」
だが、フォードにとってわかったことがあった。
一つ、自分が死んでいないこと。
戦場でも経験したことだがまず最も誇らしいことは敵を打ち倒すことではない。
生きることだ。
フォードは幸運にも、生きていた。
まずその事を感謝した。
二つ、敵のアジトに侵入したこと。
敵地に乗り込んだ、ということは相手の真意を探れることだ。
だが、状況は良くなかった。
何より、首が痛かったし、それに敵に捕らえられている以上命は向こうの状況次第で変わる。
すると、ふと前方から光が差しのべた。
そこで、フォードは自分の置かれてる状況がその光のおかげでわかることができた。
全裸のまま、ベッドで磔の状態でいたのだ。
フォードは自分の姿がふとイエス・キリストの磔の絵にみえた。
恐らく、相手はこうやって辱めを与えこれから「いい刑事」「悪い刑事」のような雨と鞭作戦で洗脳していくのだろう。
フォードはジッと前方をにらんだ。
すると、目の前から意外な人物が現れた。
「元気か?」
声の主は聞いたことがある人間だった。
光がさしこんでいるためうまくみることはできなかったが、しだいに目がなれていくとどういう人物かわかった。
灰色のスーツと筋肉質な体をした、大柄な眼鏡をかけた壮年の男性。
シンクレア上院議員だった。
「上院議員?やはり、あなただったか!」
シンクレアはフォードの言葉を耳にすると微笑みながら電気をつけた。
すると、電機は灯り周囲が明るくなった。
フォードの周囲にはふと、レンガ状の建物と粗末で時代遅れな電灯がみえた。
「悪く思わないでくれ、これも正義なのだ。」
フォードはひたすら、シンクレアのほうをにらんだ。
ただただ、無言で。
自分に辱めを与えた、議員への怨念。
そして、恐らくは提督を撃ち自分に罪を着せたことであろう事への憤怒。
それらがまざり、フォードはシンクレアをただただ睨んでいた。
だが、フォードは冷静に聞いた。
「提督を撃ったのはあなたか?」
シンクレアは首を横に振った。
その姿はわざとらしくみえた。
「勘違いするな、私が狙撃したわけではない。」
「その指示を出したということか、提督はあなたの市民監視計画に賛同をしていたのに!」
シンクレアは少し一瞬、戸惑った表
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