捨てきれぬ情
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行調査及び桐条の秘密研究所を中心とした集団昏睡事件に関する報告書
桐条鴻悦の目的は『不老不死』或いは若返りの類が目的だと思われる。その為に、『シャドウ』と呼ばれる怪異(悪魔ではない)を集め、その力を利用する計画。今回の事件の原因となった秘密研究所では、この『シャドウ』を制圧する為の戦力として、『ペルソナ』の異能力者を人工的に作り出すことが目的としていた。
拉致した研究員を魅了して聞き出した情報によれば、覚醒の為の実験体として、全国各地から買い集められた4〜10歳の孤児100名を使用していたようである。孤児院を隠れ蓑に地下の実験施設で実験を行なっていた。その実験は、実験体に限界までの薬物投与をした挙句、『シャドウ』と密室状態という極限状態におかれ、覚醒を促すという人体実験であった。
もっとも、この成功率は非常に低く、100名のうち実に90名が死亡している。この死亡者のうちには『ペルソナ』に覚醒した者も、極少数いたようであるが、投薬による無理矢理な覚醒のせいか、自身の異能を制御しきれず、『ペルソナ』に殺されるという事態を招いたとのこと。結果、『ペルソナ制御薬(詳細については別途添付資料を参照)』なるペルソナを制御するための薬を製造に成功するが、本薬は劇薬であり、常用は命に関わる程のものである。ただでさえ、成人以降消滅するという異能者である『ペルソナ使い』をさらに使いにくいものにしており、たとえ量産実用化されても脅威にはならないと考える。
しかも、本事件の原因となったのは一人の実験体であるが、適性皆無とされていた者であり。それが今まで最大の覚醒をし、その『ペルソナ』の暴走した結果が件の集団昏睡につながった模様。報告者自身もこの暴走に巻き込まれたが、あくまでも深い眠りをもたらすだけのものであり、物理的な破壊力は皆無であったことを特記しておく。ちなみに回復も魔法で容易であったことから、相応の実力者なら抵抗も十分に可能であったと推察される。
また、本事件を起こした実験体は、自らの能力の暴走によって死亡している。今回、暴走が表に出たのは、実験体の魂をも消費するほどの暴走であったからだと思われる。これ程の適性がある実験体を愚かにも適性なしと判断し、使い潰していることから、本実験は非効率で実現性は低いものと言わざるを得ない。戦力化が万が一可能になったとしても、我等にとって脅威となる程の戦力を得ることはできないと断言できる。
以上から、桐条鴻悦並びに桐条グループに対する調査の続行の必要性を認めず。本報告書をもって、調査を打ち切ることを進言する。
報告者:卜部広一朗
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