DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十話
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もしれない。彼らの力は強大だ。自分たちと戦う意味なんて――――
――――意味なんて、ない……?
「ちょっとまてよ。お前たちは何で、俺達と戦ってるんだ?」
セモンは、眼前の白と黒の剣を握ったグリーアに、問いかける。刹那と同じ顔をした、《二刀流》のグリーアは、『質問の意味が分からない』、とばかりに首を傾げ、応えた。
「――――それが、マスターの指示だから」
「……っ!」
彼女たちは――――自分の意思を、持っていないのか……!? だとすれば、《主》によって彼女たちは強制的に操られているということに……。
「持ってるよ」
心を読んだかのように、それに答えたのは、コハクと戦っていた《妖魔槍》のグリーア。その顔は無表情ではなく、笑顔。どことなく、コハクに似たその笑い方――――
セモンの脳裏に、蘇る光景があった。
それは、一か月前。
セモンが、《白亜宮》に閉じ込められた日。コハクに、セモンが見分けられないほどそっくりに擬態して、セモンを眠らせた、あのグリーア。恐らくは《主》から与えられたのだろう情報で、コハクを騙った、あのグリーア。
彼女は――――《妖魔槍》のグリーアと、同個体だ。
「お前は……」
「やっと思い出した? ふふっ、覚えててくれたんだ。じゃぁ、そんな優しい清文に免じて、教えてあげる。
私たちはね――――お兄様に従わされてるんじゃなくて、従ってるの。私達にとって、あの方のために戦うことは最上の喜び。あの方の役に立つことは、至上の誉。私たちは名もなき《感情》だけど、《ナンバーズ》や《ファミリア》のように、お兄様のためになくならない命を尽くすの。
分かる? 本来ならば誕生できなかったはずの私達に、一つ一つ命を吹き込んでくれたお兄様の慈悲が。現実世界には決して存在できない私達を、まるで自分と同列の存在であるように扱ってくれる、お兄様の優しさが!!」
「わかんねぇよ!!」
叫んで飛び出したのは、シャノンだ。憤怒で顔をゆがめて、彼は乱暴に吐き散らす。
「貴様らみたいにな、『所詮自分は』と思ってる奴が、僕は一番嫌いなんだよ!! それじゃぁ昔の僕だろうが!! そんなこと考えてる奴は僕一人で十分なんだよ!! 僕は絶対唯一! 故に二人目はいらない!!」
バクン。
何かが、弾けた。
シャノンの双巨剣から、漆黒の波動が放たれる。それは空間を侵食し、徐々に、徐々に――――《破壊》していく。
「ほぅ……」
《主》が興味深げに息を吐く。
「あああああああ!!」
絶叫して、漆黒に染まった
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