第三章 五話 戦闘の序幕
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の復讐を果たすのだ!」
復讐に逸るバルフォスを、しかし狡猾なるアルゴンは引き止める。
「まあ落ち着いて考えるといい。ロデリックの爺さんがやられたほどの相手だヨ?まさか一人で行って勝てると思うのかネ?」
言うまでもない、その相手ことギリアスのバウンゼィが完調ならバルフォスどころかアルゴンと束になって手下を率いて襲いかかっても正面から馬鹿正直に攻めれば返り討ちにあること必定である。
しかし、今のバウンゼィは予想以上にロデリック老人が粘りダメージを与えたのでボロボロである。急いで追いかけ、犠牲を厭わず捨て身の攻撃すればもしかするとバルフォス一人でも勝てるかもしれない。
だが、少しでも間に合わなければ恐怖のランカーこと白野とユーリ少年の二人組という損傷無しの化け物が戦線に参加する。
そこまでのことは無論知りようもないが、アルゴンは攻めてきた一隻の巡洋艦の他に敵がいる可能性を考慮したのである。
攻めてきた赤い巡洋艦により、初期の間にファズ・マティ周辺に配置していた艦隊は原型をとどめないほどバラバラにされている。この上幹部でありスカーバレルでも一二を争う腕のバルフォスが突出して倒されてしまうとスカーバレル海賊団は集団として機能しなくなる。スカーバレル海賊団という巨大なネームバリューがあるからこそエルメッツァの内外で対した実力もない下っ端海賊達も相手を萎縮させて暴れられるのである。海賊団本拠地が潰れたとなれば、海賊問題に頭を悩ませていたエルメッツァ政府のお偉方も歓喜して思い腰を上げ、海賊殲滅に乗り出し政権の支持率を高めようとするだろう。
そうなっては下っ端の収奪してきた物資で甘い汁を吸っているアルゴン達幹部にとってよろしくない状況となる。
「今追ってはロデリックの爺さんの二の舞になるだけだヨ。ここはボロボロの艦隊を立て直して待ち伏せした方がいい」
「ぬう…」
バルフォスも恩あるロデリック老人の復仇を果たしたい気はあるものの、手下達の艦隊が完膚無きまでに叩き潰されたとあっては無関心というわけにもいかない。それに、彼の冷静な部分はアルゴンの主張の正しさを認めており今またその赤い船に押し込まれたらなにもできずに海賊団自体が瓦解するという最悪の未来図さえ浮かんでいた。
「………仕方なし、か……ええい、忌々しい!」
ゴン!と指揮席のパネルに苛立ちを含んだ拳を叩きつける。どうにもうまくいかないことばかりである。
ラッツィオでは小僧にしてやられ、中央のファズ・マティまで逃げおおせ、幹部達と我が世の春を謳歌していたら次はコレである。おまけに恩ある老人も倒されてしまった。おニューの船を手に入れたことと差し引いても収支計算で赤字になる程度の不運が彼を襲っている。
だが、いつまでも不幸を嘆いていても始まらぬ。対応策を練らねば不幸を嘆
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