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宇宙を駆ける一角獣 無限航路二次小説
第三章 五話 戦闘の序幕
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ズ・マティ内部にある潤沢な戦力を周辺の隕石群に隠して不意打ちと迎撃の体制を完璧に整える手筈だったのである。
アルゴンは大急ぎで立ち上がり手下に迎撃指示を出し始める。他の幹部達もすわ一大事と各々手下を集め始めた。

「ぬうう、襲撃だとぉ!?」

アルゴンの後ろから大股でやって来たのは同じくスカーバレル幹部のバルフォスであった。老海賊ロデリックの助力によりスカーバレル内部でのメンツの確保とおニューの船を手に入れた彼にとってロデリック老人は頭の上がらない相手である。
その彼が下っ端とはいえど艦隊を一蹴した相手に一人で対抗しているとなれば借りを返す絶好の機会である。

「直ぐに出る!皆の者、集まれい!」

大声で大広間各所に散って幹部のコンパニオンを務めていた手下達を呼び集める。
ギリアスにとっていささか不都合な事態になりつつあった。



スカーバレル海賊船 ドーゴ級戦艦【ゴライアス】

先程からギリアスのバウンゼィ相手に小マゼランのロートル戦艦で善戦しているスカーバレルの老海賊ロデリックは、敵手の強さを認識しつつも後退する訳にはいかない状況に追い込まれていた。
この敵手である赤い大マゼランの巡洋艦は巡洋艦とは思えぬ性能を持ち合わせており、更に最悪なことにその艦長は紛れもない腕利きのようであった。
彼の何時もの戦法、鉄壁の布陣と応急隊を合わせて被害を最小限に止めつつチクチクと削り取るというやり方は、相手の強力な全砲斉射である【最後の咆哮】によって前列を勤めていたタタワ級駆逐艦が穴だらけにされた挙句吹き飛ばされた時点で破綻している。接近されて足を止めた回避を無視する愚直な殴り合いに引き摺り込まれたのだ。
呑気に後退や鉄壁の布陣や応急隊を使っていては回復力を上回る威力の最後の咆哮が飛んで来てロデリック自身が最後の咆哮を上げることになるだろう。

「デキる…かつてないほどに…」

老人のしわが刻まれた額に汗が張り付く。不愉快な油汗を拭い去る暇も与えず、バウンゼィからの砲撃が飛んできた。
ロデリックは回避で対応する指示を出す。

「堪えるのだ!じきに要塞より援軍が来る!」

実のところ、このままでは千日手である。此方が状況を打破すべく行動を起こせば、そこを起点に反撃で一気に形勢が決められてしまいかねない。最早要塞より援軍が来るのを耐えて待つしかない。

「ボス、来ました!」

「おお!間に合ったか!」

ゴライアスのレーダーが、ファズ・マティからやって来る幹部達率い艦隊を捉えたのと、バウンゼィのレーザーがゴライアスの船首の上下に伸びた砲塔ユニットを吹き飛ばしたのは同時であった。
激震。そして光の明滅。ロデリック老人は自分の体が床から引き剥がされブリッジの宙を舞うのを自覚した。
直後、一瞬で上に
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