第三章 五話 戦闘の序幕
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の二人はバウンゼィの接近にもユニコーンの接近にも気がついていない。気がついていたら功名心から攻撃するか、ネージリンスの件もあるので尻尾を巻いて逃げるかの二択であったろう。
なぜ気がつかなかったかと言えば純然たるレーダーの性能不足である。何の事は無い、積んでいるレーダー管制室がLevel1の貧弱仕様だったのだ。金がなく、最低限コレしか載せられなかったのである。かくも金欠は人類の敵である。
だが、通信は入ってきている。主にバウンゼィ襲撃後に泡を食った味方から「どうなっている」とか、「なにをしている」、とかいう内容の悲鳴が。
しかし、だらしねぇことに酒盛りに夢中で後にしとけと味方の悲鳴は黙殺されたわけである。
それが、まあ、この際は二人の命を救うこととなった。
酒瓶を踏み付けて転んだドミニコが意識を取り戻し、味方からの通信要請が百通ほど溜まっているのを見て顔を青くし、更にはファズ・マティの惨状を知ることとなったのはその十二時間後である。
*
ユニコーン ブリッジ
「さあ、来てやったぞ。ショータイムだ」
白野はユニコーンのブリッジで戦闘指揮を執りながら傲然とそう言った。彼の目には、並み居る海賊船が全てまるまる太った七面鳥に見える。
しかし、敵にも牙があれば相手を奸計に掛ける頭脳もある。七面鳥を狩る時でも全力を出すのが自身と敵に対する白野なりの礼節であった。
「ファズ・マティ及びスカーバレル艦隊を確認。数十隻の水雷艇と旗艦クラスの重装巡洋艦も数隻確認した」
「よろしい。相手に不足は…ややあるかもしれんがあの数だ。暇にはならんだろうよ」
そう言いながら、白野は隣を並進するユーリ少年のバルバロッサを見る。特に戦術上の打ち合わせをしたわけでは無い。お互い0Gドッグ。好きなようにやるのが一番いい。
バルバロッサはユニコーンからの並進ルートを外れ、ファズ・マティ左側へと向かっていく。
レーダーのスキャンによれば、バゥズ級が護衛を引き連れ防衛線を敷いていた。
成る程、ユーリ少年の狙う敵はそのバゥズ級であるらしい。乗っているのが誰だか知らぬが少なくとも酷い目にあうことは確定したようなものだ。
「ふむ、左をとったか。ならばこちらは右とするか」
ファズ・マティの右側空域には、ミサイル装備特化タイプの巡洋艦ゲル・ドーネ級が随伴の水雷艇共々ミサイルコンテナを全開にして歓迎式典の準備を完了させていた。感動の涙で溺死しそうな熱烈なお出迎えである。
ならば、血の匂いが濃厚に漂う物騒なパーティの招かれざる主賓である白野としてはパーティ開幕の宣言をせねばなるまい。
「オッケイ……レッツパーリーだ…ククク…」
そう言った時の白野の顔は完璧に悪人のソレであった。
「艦載機、発進せよ」
ビシッとポーズを付
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