第三章 五話 戦闘の序幕
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」
クルー達の了解の声を聞き、白野は即座に指揮席に併設されたユニコーンのブースター出力調整ペダルを踏み込む。
それと同時にユニコーンは超加速をかけメテオストームへと一直線に進む。
「突入角度45度。デフレクターを展開せよ」
「了解。デフレクター展開します。出力、メテオストーム対応レベルに上昇」
ユニコーンに搭載されたデフレクターユニットが作動し、船体を青白いバリア・フィールドが覆う。コレのおかげでユニコーンのような巨体を持つ艦船でもメテオストームのような隕石の濁流を乗り越えることができるのである。
「で、そのユーリとかいうのは?」
デフレクターの調整を終えたゲイケットが後部モニターを見ながら白野に聞いた。
「着いてくるだろう。以前、酒場でスカーバレルの別の拠点を軍と協力して潰した若い0Gドッグがいると聞いたことがある。もしかすると、アイツかもしれんぞ?」
そう言って、白野もまた後部モニターを見た。後方からついてくるサウザーン級のバルバロッサもまたメテオストームに対応するためにデフレクターユニットを展開している。
「予定よりもすこし遅れた。急がねばな」
「心配なのか?」
「ああ。奴め、放っておいたら獲物を狩り尽くすやもしれぬ」
「成る程、確かに」
考えてみればもっともな考えであった。
*
バウンゼィ ブリッジ
一方、ギリアスは白野の危惧した通り敵を纏めて狩り尽くさんとばかりに獅子奮迅の大立ち回りを演じていた。
「遅ぇ!遅ぇ!止まって見えるぜ!」
白野との訓練を繰り返したギリアスには最早動きの遅い船の機動は数手先まで完璧に読み取れた。訓練もロクにしていない烏合の衆であるスカーバレルが相手ならば尚更である。
「…よし、向こうの艦に牽制砲撃。ビビらせてやれ!」
「アイアイサー!」
バウンゼィは海賊船で溢れた宇宙空間をまるで無人の荒野を突き進むが如く猛進していた。そもそもバウンゼィと小マゼラン艦船の間には埋められない差があるのである。相手の性能的有利を封じる戦術もロクに講じていないのでは対抗のしようもなかった。数で攻めようにも、ギリアスの白野直伝の巧妙な戦闘機動に翻弄され簡単に分断、各個撃破の憂き目に合わされておりその総数はみるみる削り取られてゆく。
「化け物め……!」
混乱する通信に、撃破した海賊船の乗組員の断末魔と思しき叫びが交錯する。
「こいつぁ、アイツが来ちまう前に全部潰せっかな?」
「油断は禁物ですよ、艦長」
「おう。わかってらい…んん?言ったそばからお客さんみたいだせ」
ギリアスが言う【お客さん】はファズ・マティからカルバライヤ製駆逐艦【タタワ級】を引き連れて重厚な布陣を敷いてやって来た。
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