第三章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
である。彼はそこも口にするのだった。
「行きたいものだ」
「バイロイトにかい」
「ああ、あそこに毎年行ければそれで幸せだ」
それだけでいいというのだった。
「僕は別にお金には興味はないしね」
「そういえば君は無欲だね」
オスカーは彼のその特性を知っていた。
「本は好きだけれど」
「別に必要ないじゃないか。そんなものは心の前には何の意味もない」
こう言うのである。
「芸術の前にはそんなものは何の意味もないさ」
「だからかい」
「そうさ。それでだけれど」
友人に顔を向けてさらに話すヒトラーだった。ウィーンのその石畳の上を歩きながら。
「そろそろその店だったね」
「ああ、そうだね」
「さて、楽しみだね」
チョコレートを前に微笑む彼だった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ