九校戦編〈下〉
九校戦四日目(3)×小銃形態の汎用型デバイスと雫の魔法
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いた。
「(残り三十秒)」
この二週間、何度と無く繰り返した積み重ねた練習より体感時間で五分の競技時間を正確に測れるようになっているのも、全ては一真の技術と間隔を練習してきたお陰である。ゴーグルに映し出した青い球体の内側に紅のクレーが飛び込んだ瞬間、デバイスの引き金を引いた。標的は速やかに砕け散る。保護ゴーグルを照準器として利用する事は大会規定で認められている。むしろ、そのようなギミックを仕込んでいない選手の方が稀である。標的を狙いをつける為ではなく、空間を仕切る為にヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)の機能を組み込んでいるのは、雫だけだろうではなく一真くらいだろう。何から何までオーソドックスなノウハウとは異なる仕掛けを提案してくる一真に、雫も最初は戸惑いはした。でも実際競技経験がない事が逆に幸いしたのか、慣れるまでに時間はかからなかったし、慣れてしまえばこれ以外の装備、これ以外の術式が考えられない程、雫にフィーリングにピッタリとマッチしていた。ホントは一真が提案したのではなく、月中基地本部にいる達也からの提案を聞いていたのでそのままとなった。
雫は楽に魔法行使しているので、ストレスは感じない。元々細かい制御は向いていない、という事は自覚している。雫がデバイスエンジニアにリクエストしたのは、細かな設定をスムーズに行えるようアシスト機能だった。速度は犠牲して魔法を照準としてから、確実に威力を制御できる事をデバイスを求めていた。速度は自分の処理能力で補う自信があった。一真の組み上げた術式は、細かな設定を不必要としたもので短所を補うのではなく、長所を最大限に活かす事をコンセプトとしていた。雫の高度連続発動可能とする処理能力と、大規模な魔法式を構築するキャパシティを最大限に発揮する為の物であった。
彼女が手にしているのが、照準補助システムと汎用型デバイスを繋いでしまったという事に驚いていたが、それ以上に起動式を処理する速度に驚かされた。汎用型は、処理速度において特化型に劣るという事は常識というよりかは構造的な条件でもある。汎用型デバイスと特化型デバイスは、ハードもソフトもアーキテクチャからして異なる。両者の違いは、専用プロセッサと汎用プロセッサの違い、あるいは専用スパコンと汎用スパコンの違いに似ている。中枢となる演算装置の性能が同等なら、処理速度においては汎用型は特化型に決して敵わない。その差は通常明確に実感できるレベルであるが、雫が使っているデバイスは特化型に劣らぬ速度を発揮しているからだ。
「(あと五秒)」
標的が飛び込んで来たら、引き金を引き魔法発動して、標的が砕け散る。処理速度は、予備で使った特化型と比べても、ほとんど遜色が無い。一真はそのカラクリを「二種類の起動式に限定したから」と言っていたように競技専用だから可能だ
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