九校戦編〈下〉
九校戦四日目(3)×小銃形態の汎用型デバイスと雫の魔法
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笑って振り向いた深雪の一言が、幹比古の観察を裏付けた。
「えっ?じゃあ、アレって」
「そうよ。エリカ。あれはお兄様のハンドメイドであり一から作ったお手製よ。汎用型CADで照準補助システムを利用する為にお作りになった物よ」
深雪が得意げに返した答えに、自身も特殊形状のデバイスをオーダーメイドして、その手間を知っているエリカは絶句していた。
「驚く気はさらさらないけど、一体何の為に?」
「無論試合の為ですよ」
簡潔に告げられたほのかの答えは、レオ、そして三人の疑問に対して十分なものではなかった。それに続く説明はなかったが、六人の視線が前を向いて競技開始のシグナルが点り始めていた。紅白のクレーが宙を舞うが、雫が破壊するクレーは紅。紅に塗られた三つのクレーが軌道を曲げ、有効エリアの中央に集まって衝突し、砕け散ったのだった。
「移動系・・・・いえ、違うわね。収束系?」
各校が本部に使っている天幕には、進行中の全競技を映し出す事が出来る大画面の多段階分割モニターが設置されている。そのモニターはほぼ一杯に使って、真由美と鈴音は雫の試合を観ていた。
「ご名答です」
今度は有効エリアの奥を飛び去ろうとしていた紅のクレーがエリア中央に吸い寄せられて砕け散った。
「今のは予選で使った魔法よね?」
「はい。収束系魔法と振動魔法の連続発動ですね」
白いクレーは二つずつ、衝突によって破壊されている。対戦相手の二高選手が採用している戦法は、移動系魔法により標的のクレー自体を弾丸として、他の標的にぶつけるオーソドックスなもんだ。オーソドックスであるが故に、有効性が過去の実績により立証されている戦法なので先ほどからエリア中央付近で白は頻繁に的を外している。外縁部ではほとんど集中させているから、本人の技術的な未熟の所為と言うより・・・・。
「有効エリア内を飛び交うクレーをマクロ的に認識して、中央部における紅色のクレーの密度を高める収束系魔法の影響で、白のクレーが中央部からはじき出されているのは分かるんだけど・・・・」
収束系魔法の基本形は、魔法式で定義した空間内に存在する、魔法式で定義した「情報」を持つ対象を、魔法式で定義した座標に選択的に集める魔法。これを物質に対して使用した場合、対象物質の密度を高めると同時に、対象物質以外の物質の密度を低下させる効果を発揮する。例えば真由美が使用したドライアイスの弾丸を作って飛ばす魔法も、十分な弾数を得る為に初期工程で二酸化炭素を集める収束系魔法が組み込まれている。この際、一箇所に集められた二酸化炭素がそれ以外の気体を押し除けて二酸化炭素密度の高い空間が作り出されている訳ではなく、指定された座標に二酸化炭素が流れ込み、同時にそれ以外の気体が流れ出しているからだと原作に
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