九校戦編〈下〉
九校戦四日目(3)×小銃形態の汎用型デバイスと雫の魔法
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深呼吸をしておきなさいと深雪に促された美月は素直に深呼吸を繰り返した。からかい混じりだったけど。
「・・・・これも一種のお約束かしら」
「・・・・美月さんって時々お茶目よね」
深呼吸の成果というより、深雪とほのかに全く心配のない様子が見られないのを間近で感じて、美月はやっと落ち着きを取り戻した。
「今度はどんな工夫を見せてくれるのかな」
幹比古の声が少し弾んでいるのを耳に留めて、エリカが「おやっ?」という表情を見せた。
「だな〜、今度は何が飛び出してくるのか予想が付かないぜ」
「まるでビックリ箱のようだけど、本当のビックリ箱は彼が準々決勝からどうやるかがとても楽しみだよ。ただ光井さんのレースもあるから、どうなるかは小型ディスプレイで見れると思う」
「言えてる」
幹比古が魔法に対して前向きな興味を示すのは、随分と久しぶりに見えたエリカだった。他人の試合を見ただけではなく、一真からの精霊魔法の指導や名無しがやる現代魔法や古式魔法でもない物には、深雪以外は驚き振りだった。一真と幹比古との関係も精霊魔法の特訓から付き合ったのか、いったい自分の知らないところで何をしていたのか、口には出さないエリカだった。
「えっ?あれって・・・・」
「どうしたんだよ?」
「あのCAD・・・・・?」
エリカが思惑していた時に、調子外れな声によって視線を雫に戻した。幹比古の視線は、雫が襷掛けにストラップでぶら下げ、脇の下に抱え上げたデバイスに向けられている。小銃形態のデバイスは一見、ストラップがついている以外は、他の選手が使用している競技用の物と大差が無いように見える。だが実銃の機関部に当たる部分が、他の選手が使用している物に比べて幾分厚みを帯びていた。幹比古の流派では、元来デバイスをそれほど重視しない。未だに呪符による術式発動が主流だが、去年の事故で現代魔法の技術を学んだ所為か雫が持っているデバイスの事を気付いた。失った物は、事故後から回復しているが今でもデバイスはあまり使わない。
「あれって・・・・汎用型?」
「えっ、マジか?」
「えっ、でも、あれは」
「小銃形態の汎用型CAD何て聞いた事ないよ?第一、照準補助システムと汎用型の組み合わせ何て、技術的に可能なの?」
レオ、美月、エリカから、次々に上がる当然な疑問となったが、幹比古は自信を持って頭を振った。
「でもあの、トリガーの真上に配置されたCADの本体部分は、FLTの車載用汎用型CAD『セントール』シリーズに間違いないよ。セントールシリーズは、本体にインターフェイスを持たず外部の入力機器に繋いで使用するタイプだけどその為のコネクターでグリップと照準補助装置に繋いでいるんだ」
「よくお分かりですね」
ニコッと
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