第一章
str3『第一層の地でA』
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――――今後も彼女と行動を共にするのか……それは未決定では無いのか?
さもボス戦の後もシャルとパーティーを組んでいることを想定していた自分に驚く。
彼女と出会ったのは、まだ一日も立たないほどのつい最近の話だ。何となくクロスなりにシャルの性格を掴んでは来たものの、他人の感情を上手く察することが出来ない自分のことだ。実際どうなのかは分からない。
自分の行動は、正しいのだろうか――――
無限の思考の渦へとクロスが墜ちようとしていたその時。
明るいファンファーレの音と共に、
「やった!」
シャルが嬉しそうに、小さくガッツポーズを取った。先程のファンファーレの音から察するに、レベルが上がったのだろう。よく見れば、自分の視界に表示されているリザルト画面の【EXP】のゲージも、大分たまっている。次の戦闘でレベルアップできるだろう。
だが、なんとなく盛んに喜ぶシャルの気持ちが不思議になってしまったクロス。
「……嬉しいのか?」
「そりゃあ……まぁ。だって、自分が強くなった、っていう証なのよ? ……と言うか、あなたは嬉しくないの?」
ふむ、とクロスは真剣に考え込む。成る程。確かに言われてみればそう思えなくもない。どれだけ非常識な状況であると言っても、SAOはあくまでレベル制MMOだ。この世界では、レベルは直接その存在の強さを現す要素の一端となる。
それが上がる、と言うことは、確かに自分が強くなった証なのかもしれない。となると、きっと嬉しいことなのだろう。
「成る程。では次から、俺もレベルが上がったら喜んでみることにしよう」
再湧出した《ルインコボルド・トルーパー》に、向かって駆け出し、両手剣ソードスキル《グレイヴ》を放つ。空気を引き裂く剛閃が、コボルドの喉元の弱点を切り裂いた。
クリティカルヒットを示す、眩いエフェクトが飛び散り、一撃でコボルドを倒すことに成功する。
リザルトが表示され、経験値が加算されていく。通常のそれに加えて、クリティカルヒットを起こしたことによるボーナス。そして、【EXP】のゲージが満杯になり、【Lv】の欄に書かれた数字が13から14に変わった。ファンファーレが鳴り響き、レベルが上がったことを知らせてくる。
早速、喜んでみることにする。
「いえーい」
その瞬間。
「ぷっ……くくく……あははははははっ!! な、何よその喜び方! 『いえーい』って……棒読みで『いえーい』って!! あはははははっ! ちょ、ヤバい、お腹痛い!」
シャルが爆笑し始めた。手で口許を覆って、どうにか笑いを沈めようとしているらしいが……
「……? なにか可笑しかったのか?」
「や、可笑しす
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