流れる日々
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けだろうがイヨ。それじゃあおしゃべりとは言わンゼ』
「……屁理屈言うんじゃあねぇよ」
『そう邪険に扱うなッテ。相棒にもメリットのある話だかラヨ』
ラースはそういうと、瀧馬がメロンパンを食べ終えたのを見計らって、高揚感隠さぬ声色で彼にもメリットがあるらしい話を、クヒヒというお決まりの笑いの後にし始めた。
『相棒は空気を取り込み圧縮して放出スル“風砲暴”は知っているヨナ?』
「……アレが皮膚呼吸の強化版だってのが正直まだ信じられないんだが……」
『そりゃ人間やらそこらのエレメリアンの奴らなんゾト、全く規模も威力モ、仕組みからして違うかラヨ。けど事実ダ、皮膚呼吸みたいなものだってのハナ』
“風砲暴” は、砕く風と斬る風が練り込まれた螺旋状の嵐を、幾重にも束ねて大放出する技。その威力たるや正に本物の嵐にも匹敵するが、そんな技の仕組みが皮膚呼吸と同じだとは露程も考えられない。
左腕の三方から直線状の吸引口をせりあがらせて溝を作り、そこから空気を取り込んで排出するという事を聞けば、まあそれとなくは納得できなくもないが……何にしたって一度聞いたぐらいでは信じられない。
「だが話の核はそこじゃないんだよな? 勿論」
『オウ、本題はここじゃあ無ク……放出方法がまだいくつかあるって事ダ。即ちまだ出せる技が存在するって事ダ!』
「……何……!?」
掌にライフリングが施された発射口を形作るだけでも仰天モノだというのに、ラースはまだやれる事があるのだと、空気を取り込んで嵐の如く放出するだけが取り柄では無いと、そういったのだ。
そりゃ普通は驚くだろう。
『けどちーとばかし問題があるんだヨナ、コレ』
「問題? 何なんだ?」
『嘘かと思うかもしんねェガ……空気を取り込み放出するってのハナ、元々俺には無かった力なノサ。俺本来の力とはだいぶ違うノヨ』
「……お前の力じゃあないなら一体何なんだよ」
『融合した事により新たな力が生まれタト、そう考えるしかないワナ。何せ人間とエレメリアンの融合なんざ俺らが初だろウシ、相棒の細胞は現時点ほぼ俺ら側に近イシ』
「まじか……」
『マジダ』
自分にとってはちょこっと悩む程度でも、瀧馬には衝撃的な告白であったのは自覚していたか、ラースは咳払いをしてから再開した。
『それデダ……だからこそ俺には詳しい力の全容が分からネエ。だから使った際、使い方とかは大まかには分かっても、もたらす効果が如何なのか、どうなるかも分からないんダヨ』
「なるほど、それが“チートばかし”な問題なのか」
『問題中の問題ダナ。次の戦いで試さんことには分かりゃしないから使うしかなイガ…
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