第百八十二話
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第百八十二話 寝ると
ライゾウはぐっすりと寝た、そして起きてからだ。
同じ部屋で寝ていて先に起きて御飯を食べているタロのところに来てだ、いつもの特に悩むことのないといった顔でこう言った。
「寝たらな」
「それでなんだ」
「ああ、何か考えが変わってな」
それで、というのだ。
「歯のことはどうでもよくなったよ」
「そうなんだ」
「ああ、本当にな」
「じゃあ何でそう思ったのかな」
「何でだろうな」
首を傾げさせて言うライゾウだった。
「おいらもわからないな」
「ただそう思っただけかな」
「それだけかね」
「気の迷いっていうかね」
「ふと気になっただけか」
「そうじゃないかな」
タロはこうライゾウに言った。
「それでじゃないかな」
「そうか」
「うん、だからね」
それでとも言うのだった。
「気にすることでもないし」
「じゃあ後は」
「もうどうでもよくなったよね」
「ああ、完全にな」
「それだったらね、もうね」
「気にしなくていいか」
「寝て気にならなくなるのだったら」
タロはそのライゾウに話していく。
「もうね」
「その程のことだからか」
「そういうことだよ、だからね」
「もう忘れてな」
「気にせず遊べばいいよ」
「そうか、じゃあな」
ライゾウはタロの言葉を受けてまた言った。
「ちょっとゲームでもするか」
「何のゲームするの?」
「今やってる恋愛育成ゲームだよ」
それをするというのだ。
「それをするな」
「そうするんだ」
「ジュースでも飲みながらな」
「虫歯には気をつけてね」
「わかってるさ、それは」
こう返してだった。
ライゾウは起きてゲームをはじめた、もう歯のことは完全にどうでもよくなっていて殆ど考えなくなってしまっていた。
第百八十二話 完
2014・10・31
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