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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
10話 剣のネクシャリズム
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は千年を超える日本剣術の集積が息づいている。
 それが、平安時代の刀の形状と最新材料工学と古典的材料工学、それに戦術機という未知の可能性に満ちた新兵器を融合させる道を示したのだ。

 闇雲な高性能化だけを求めがちな、単純な科学者では決して到達しえないあらゆる情報を統合することで戦術を考案する―――戦術機開発にはこの上ない適役だ。

(成るほど……あの斑鳩閣下が養子に迎え入れるだけはある。)

 戦術機開発に最も必要な素養とは何か、
 新しい概念を見つけ出す能力?違う。それは先進技術と云うパズルの断片を的確な戦術に基づきくみ上げる能力だ。
 この全く異なる学問を又にかけ、別々の学問の成果物どうしを掛け合わせる事で全く新しい物を創造する新しい学問……その名を。

(確か―――【情報統合学(ネクシャリズム)】、そのエキスパートが剣客の中から生まれるか……古いからと侮れないですね。)

 千堂専務が忠亮の戦闘に対する情報統合学の驚異的な嗅覚に内心驚愕し、湧き上がる慄きにも畏怖にも似た衝動に額の汗をぬぐおうとした時だ。

「旦那様、準備つつがなく終わりました。」
「分かった、彼女を部屋に入れてくれ。」

 応接間の扉の向こうから女中の山口の声、それにすぐさま返答するとゆっくりとも速いとも付かない絶妙な速度で扉が開かれた。

「ささ、どうぞ。」

 山口に押され、彼女が入室してくる。

「おお、これはこれは……よくお似合いで。」
「―――――」

 感心の言葉を口にする千堂専務、対し予想はしていた筈であろう忠亮は目をただただ丸くするだけだった。
 そこには……一斤染めの桜色の着物に身を包み、真珠のイヤリングと薄化粧で彩られた唯依の姿があった。

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