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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
10話 剣のネクシャリズム
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古刀、戦国時代以前に作られた刀で主に平安時代に作成された刀を差す。
そして、平安時代は後の時代に比べ製鉄技術が拙く、幾つも作った玉鋼の内から鍛冶師が厳選した物を打ち合わせて太刀を鍛造した。
その為、刀身自体に粘りがある刀が出来ることが多かった。逆に、玉鋼の製鉄技術が向上してくると粘り気と硬質さを両立させた玉鋼が作られなくなってきた。製鉄技術の向上と共に鉄の純度が上がり、品質のばらつきが少なくなったからだ。
その打開策として刀匠たちは、柔らかい鉄と硬い鉄を複合させて刀を作り出す新古刀から新刀へと繋がる製刀技術を確立させていった―――ごちゃごちゃ言ったが、つまりは経験則だけで到達した複合素材だ。
驚愕すべきことに刀匠たちは経験だけで最新材料工学に匹敵する物を生み出したのだ。
「騎馬での運用に向いた大太刀、そして長物の隙をカバーする小太刀は戦国時代と平安時代の武器運用を戦術機用に複合させて工夫したものだが、俺の指示した構造は従来の日本刀の精錬技術を適用させただけだ。」
「成るほど……刀身の刃の部分にハイパーセラミックを使ったことで、一見靭性は低下したように見えましたが、その靭性は刀身のスーパーカーボンが引き受けたことで全体としては素晴らしい硬度と靭性のバランスを生み出し、それが結果として威力の大幅な底上げが出来たのは剣術家として日本刀に通じていたからですか―――」
「ほかにももう一つある。」
「と云いますと?」
「カーボン・セラミックス等の素材特性については専務のほうが詳しいだろうが、それとは別のもう一つの利点は塗装が容易だという事だ。
……嘗て、江戸時代では斬首刑の際に用いられる刀はガマの皮膚を干したモノで研ぎ、油に付け込んでから使用されたと云う。
之は人体で最も頑丈な部位である頸椎を切断するのには刀身の摩擦が邪魔だという事があげられる。」
「おや、日本刀は2・3人斬れば人の油で切れなくなると聞きますが、その話とは矛盾しますな。」
「それは誤解だ。専務が言っているのは山本氏の逸話だが、彼が使っていたのは日本刀ではない、日本刀風に洋鉄を鋳造しただけの形ばかりのなまくら品だ。大方、人の油云々よりも単純に骨に当たって欠けただけだろう。昭和刀は折れやすい粗悪品と評判だからな。」
「―――という事は、今回の兵装に戦術機の間接用の超低摩擦コーティングを指示為されたのは……」
「そうだ、斬首用の刀も元にしてある。それに超低摩擦コーティングはそのまま刀身の保護にもなるからな。BETAの体液を弾いて刀身を保護する役割も与えられているという訳さ。」
―――素晴らしい応用力だ。と千堂は目の前の隻腕の青を纏う男を評価した。
彼は衛士と呼ぶよりも剣客に近い人間なのだろう、そして彼の中に
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