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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
10話 剣のネクシャリズム
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 新OS開発計画―――ZINKIプロジェクト。
 それは篁家の次期当主としての立場から前線へと赴くことを許されない自分が唯一衛士として居られる場所だった。


「……ふむ、やれやれ」
「あの……どうしたのですか?」

 今回のシミュレートデータを持参したが、目の前の自分と色違いの軍服を纏う青年はやや不機嫌だ―――よく見れば部屋には資料がいくつも散乱し、彼の目も隈ができている。

(人工衛星関連技術レポート……?それにこっちはS−11のレポート……そしてこっちは新型ロケット―――明らかにこの計画に必要ない物ばかり……?)

 計画の監督として大変なのは理解出来るが、それにしては関係ない資料が散乱している。
 それに内心首を傾げる、一見戦術機に関係ありそうで微妙に焦点のずれた研究レポートばかり、しかも様々な大学や研究所に企業と節操なしに集められていた。


「ああ、別項の仕事の下準備が忙しくてな……」
「別項?」

「………丁度いいかもしれんな。」
「え、何がですか?」


 小首を傾げた自分に一人自分勝手に自己完結した眼前の青を纏う隻腕の青年は徐に席を立つ。――自分の疑問には一切答えず。
 ただただ、不敵な悪い笑みを浮かべているだけだった―――

「篁、出かけるぞ準備しろ。」









 連れられるまま黒車に乗せられた唯依、そして車中で揺られながら隣に座る忠亮を見る。
 ―――美形という訳ではないが、自らを刃と為す程にただ愚直に鍛え上げた人間だけが持つ孤高の冷たい空気がある。
 その精錬な佇まいと、鍛錬が滲み出た引き締まった顔つきは不思議な魅力ある

 ……もし、彼女が男だったらこんな風だったかもしれない。そんな戯事を思案してしまう。

「………」
「どうした?」

「い、いえ!何でもありません!!」

 じっと見つめてしまった……そしてそれに感づかれた。途端、気恥ずかしくなってしう。たぶん、今の自分は耳の端まで真っ赤になっているだろう。

「そうか…そういえば最初に逢った時から君はそんなんだったな。」
「―――それはどういう意味ですか…?」

 心なしか声が震える。―――彼の中で自分は一体どんな頓珍漢な存在になっているのだろうと内心戦々恐々する。

「そうだな……何というか、一言でいうなら……」

 言うなら…一体なんだというのだろう。ある意味聞くのが恐ろしい。

「ライオンの皮を被ったウサギかな」
「―――――」

 聞いて絶句。なんだ、その珍妙な生き物は。
 そして、ちょっと想像してなんとなく可愛かったのが意外に悔しい。

「はははっなんだその顔、ハトが豆鉄砲食らいながら苦虫を噛み潰したような顔してるぞ。」
「ははは……
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