空白期 第15話 「楽しく」
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なくそうかなって思ってたから。その、辛いときとかは遠慮せずに言ってね。力になれるかは分からないけど頑張るから」
「フェイトちゃんって意外と大胆やな。聞いてるこっちが恥ずかしくなってきた」
「え……ち、ちが! そういう事じゃなくて!」
「小鴉……どうして貴様は空気をぶち壊すような真似をするのだ!」
「そんなん決まっとるやないか。せっかくこうして集まってるんや。しんみりするよりも楽しく過ごしたいんや」
そう言ってにこりと笑うはやてに、ディアーチェの怒りは完全に抜かれてしまった。いや彼女の怒気だけではなく、この場に漂いつつあった空気そのものが霧散したように思える。俺と似た痛みを知りながらも、笑顔を絶やすことなく生きてきたはやてだからこそ出来ることだろう。
……何ていうか、久しぶりにこいつの本当の笑顔を見た気がするな。最近はシュテルの影響からか一段とふざけることが多かったし。いつもこういう笑顔をしてくれると個人的には嬉しいんだけどな。
「はっ!? 何や熱い視線を感じる。……ショウくん、そないにわたしのこと見つめて……もしかして惚れた?」
「……はぁ」
「ちょっ、ため息はひどいで。今日はせっかくショウくんがくれたたぬきさん着てきたんに」
「たぬきは関係ないだろ……えーと」
何でこうも視線が集まってるのだろう。俺とはやての関係は知られていると思うのだが……
「言いたいことがあるならはっきり言ってほしいんだけど」
「いや、その……別にはやてちゃんにプレゼントとかしてるのがどうとかじゃないんだけど」
「ショウが……そういう服を買ってるところを想像すると」
「なのはちゃんにフェイトちゃん、言いたいことは分かる。けどな、あのショウくんが恥ずかしさを我慢して買ってくれたんやで。もらったからには着るしかないやろ」
「小鴉、貴様そう言ってる割に本当は気に入っておるだろ?」
「あ、分かる? いやぁ〜髪飾りといい洋服といい、ショウくんはわたしの好みをよう分かってくれてるんよ」
喜んでくれているようなので、贈った側としては嬉しく思うが……何で同時に苛立ちも覚えるのだろう。
「えぇい、身をよじらせながら惚気るな。うっとうしい!」
「そんなに怒らんでも……あ、もしかして王さまもほしいん?」
「なっ――だ、誰がそのようなものを着るか!」
「本気で否定するところが怪しいな。見た目といい、実は服の好みも被ってるんやないの?」
「出会ったばかりの貴様の趣味など知るか! 大体、可愛いと思ったものが自分に似合うとは限らんだろうが!」
「ん? ということは着てみたいってことやないの〜?」
「――――っ」
にやけ顔のはやてによほど苛立っているようで、ディアーチェは立ち上がりながら声にならない声を上げた。これは当分の間終わ
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