三話「朋也」
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だ」
なるほど、そういうことか。どうりで今日の智代はいつもと違って目が必死なわけだ。
「だから……シン、あとはお前次第だ。頼む、答えてくれ」
そう悲しげに智代は問うが、俺はどう答えればいいのかわからなかった。彼女の気持ちは嬉しい。しかし、俺は化け物ゆえにいつ暴走して彼女の傷つけてしまうかわからない。場合によっては、朋也の愛するこの人を、俺が殺してしまうかもしれないのだ。
「シン……」
「智代、俺は……」
とにかく、今の気持ちを彼女へ伝えるしかあるまい。俺はそう答えようと口を開けた刹那。
「あ、すまない……電話だ」
彼女の懐からケータイが鳴りだした。会社からである。
「すまない。少し席を外すぞ?」
そういって、彼女はこの場から離れる。俺は、そのうちにいい答えを考えだしておこうか?
「……」
だが、どうすればいい?空にたそがれ、彼女にどう答えればいいのか悩んだ。
「よぉ……?朋也」
「……?」
背後から聞こえた若い青年の声に俺は振り向いた。その青年は俺のことを「朋也」と呼んだ。
「久しぶりだな、元気だったか……?」
黒いスーツにサングラスをかけた、いかにも怪しげな青年だが、俺はその青年に見覚えがあった。彼とは初めて会うはずが、なぜか懐かしさがこみ上げてくる。
「お前は、誰だ……?」
「おやおや?もう忘れちまったのかぁ?高校のころからの親友だったじゃないか?」
「すまないが……人違いじゃないのか?俺は朋也ではなくて……」
「シンというのは、単なるコードネームでしかない……」
「!?」
青年は、俺の正体を知っていた。俺は目を見開き青年をにらむ。
「何者だ……!?」
「おいおい、そんな怖い顔するなよ?今お前と話がしたくて智代には少し席をはずしてもらった。なに、危害を加えたりはしない」
「……要件は何だ?」
「別に、俺はただお前に会いたかっただけさ?しっかし……新型のサイボーグソルジャーがお前だとは、驚いたよ?後遺症が原因で死んだとは聞いたが、まさか実験体になって生き返っていたとはね?」
「お前は……俺を知っているのか?」
「ああ、お前の友達だからね?」
「なら、教えてくれ!俺は……誰なんだ?」
「どうすっかな……?」
青年は、勿体ぶるように俺から背を向ける。
「頼む……!俺は、いったい何者なんだ!?」
「どうしても知りたいかい?」
「……?」
青年は俺へ振り返ると、ニタリを笑んでこう述べた。
「じゃあさ……ほかのやつを倒して僕のもとまで来れたら、話してもいいよ?」
「お前は、まさか……!?」
「そう、お前が抜け出した研究所の回し者さ?そして、お前の同類でもある」
「俺と同じ化け物ってわけか……」
「化け物とは心外な?サイボーグソルジャーって呼んでくれないか?」
「連続殺人事件のもう一人
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