三話「朋也」
[4/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
風呂上がりに食おうと思って買ってもらったアイスを代価に俺は河南子と交渉する。
「……まぁ、アイスの種類は?」
「カリカリ君のオレンジソーダー味……」
「この河南子、ひと肌脱いでやろうじゃありやせんか!」
そういうなり、彼女はあっさりと話してくれるようになった。ってか、こいつは本当に単純だな?
それから彼女から得た岡崎朋也についての情報だが、彼女が言うには、朋也と智代とは高校からの付き合いで朋也は、悪友と一緒に彼女へ絡みだしたことが始じまりだったらしく、このころから彼は智代と徐々に親密になっていき、そして朋也が高校を卒業したころには智代と本格的に交際しだしたのだという。
そのほかにも、朋也はリサイクル店で働いていたことや、智代の父親の隠し子である「とも」という少女をしばらくの間、智代と共に預かった話もある。そして、トラウマを抱えていた鷹文の心を救ってくれたことも話した。最後は病死したというが、詳しいことは話してくれなかった。おそらく話せばつらくなるだろうし、俺もそこまでは問い詰めることはしなかった。
最後に、彼女は朋也の性格を話した。馬鹿で、スケベで、智代一筋……最後のほうは認めるが、最初と二つ目はどうも不愉快だ。
「……て、とこっかな?」
河南子は話し終えて、ゴロンと横になってアイスを食べ始めた。
「そういうことか……で、俺がその「朋也」ってやつに似ているんだな?」
「そういうこと」
「……」
俺はしばらく黙り、朋也という存在について考える。ただ、顔が同じ人間なんていくらでもいるだろう?だが、その朋也という名前は初めて聞く名前にしてすごく馴染み深く、懐かしみのある名前であったのだ。
「でぇ?シンオッサンは朋也の知り合いか何か?」
「え?」
アイスを加えながら河南子は俺に振り向く。
「……俺が、記憶喪失なのは智代から聞いているか?」
「まぁ、一様」
「その朋也っていう名前に心当たりがあるんだ。初めて聞く名のようで、とても馴染みのある名に感じるんだ……」
「なんだかキモ……」
そう河南子が顔をゆがませる。確かに大の男がそんなことを言うとそういう風に思われるかもしれない。
「クックック……ちがいねぇ」
俺も笑いながらそう思った。
さて、これで朋也に関する情報は得たが、俺の記憶につながる話はあまりなかった。では、残るは朋也と最も親密な関係にある恋人の智代に聞くしかあるまい。
「そういえば、鷹文とは一緒じゃないのか?」
俺は適当に思ったことを尋ねた。
「別に?最近は部活とか忙しいからね、会う機会つったら朝学校で一緒に登校するぐらいッスね?」
「ふぅん……」
部活か……そういえば鷹文は今も陸上部をやっているそうだな?最初はパソコンオタクだったらしいが、陸上部でのトラウマを乗り越えられて無事に復帰したという。もちろ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ