三話「朋也」
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鬼守を置いて逃げ出していく。
「智代を返せ……!」
「ぐぅ……!」
鬼守は、動けない智代を担いで太い片腕が彼女の細く白い首へ絡め、懐から取り出した拳銃を彼女の額に当てて人質に取った。
「来るな!それ以上動けば、彼女の命はないぞ!?」
「……!?」
俺は、弱みを握られ身動きが取れなかった。下手にでも動けばあの男は本当に引き金を引くかもしれない。
「……!」
悩んでいる中、横から新たな影が俺にとびかかった。その姿は、初号機だ。
「くそっ……」
俺は、邪魔して襲い掛かる初号機と格闘し、その隙に男は智代を連れて車へ乗り込み逃げ去った。
初号機は、片手の刃物でシンに襲い掛かる。それも、先の戦闘のときよりも攻撃の素早さが違う。
「早い……!?」
刃物から間合いをとるためジャンプを繰り返しながら後へ下がって距離を稼ぐシンだが、攻撃もすばやければ動きもすばしっこい初号機によってすぐさま距離を詰められ、初号機の刃物がギラついた。
振り下ろされた刃はシンの片腕を切り落とそうとするも、ギリギリよけたことでシンの肩を傷つけることしかなかった。しかし、傷跡は深い。
「……!」
肩をやられて動きが鈍ったシンへ初号機は更なる追い打ちを仕掛ける。
「ぐあぁ!」
初号機の刃がシンの体を次々と傷つけていき、シンは苦戦を強いられてしまう。
(このままでは確実に殺される。何か策はないか……!?)
しかし、俺が考えている時間さえも相手は待ってくれない。奴の刃物が俺の脇腹を傷つけてそこから緑色の血が垂れ流れた。
「やっべぇ……」
あと少しずれていたら急所は間違いなかった。くそ!ここで俺は死ぬのかよ!?智代も……大切な人も守れないまま俺はここで朽ち果てるのか……?
「まだだ……」
だが、俺には負けられない。大切な人を守り、そして奪われた記憶を取り戻すまでは、俺は負けられないんだ……!
「グアァッ―――!!」
縦割れの顎が大きく見開いて俺は理性を失うかのように夜空へ野蛮に叫んだ。執念のままに俺は初号機へとびかかる。
初号機の刃が迎え撃つが、俺は刃を平手で弾いて払いのけ、懐へ蹴りを入れた。それも最大の重い蹴りを食らわせる。
「グギッ……!?」
急所を命中したのか、初号機は途端に苦しみだして体中から火花が散りだした。耐えきれなくなった奴は膝が落ち、さらに苦しみだす。
「ガウゥルル……」
唸りながら、俺は初号機へ歩みよると、両手が初号機の頭をつかむ。
「グアァ!!」
そして、その頭を思いっきり引き上げて、激しくちりばめる火花と共に初号機の頭部はジリジリと引きちぎられていく。
俺は、その引っこ抜いた首を手掴んで暗闇の路地へ放り投げた。
「ハァ……ハァ……!」
どうにか勝ち、智代を人質に逃げた男を追う。智代の匂いがまだ残っているため追跡は可能だ
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