第百八十六話 国崩しその十
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「御主達はそう思っておるか」
「無論です」
まずは安藤が言ってきた。
そのうえでだ、松永を見て言うのだった。
「そもそも」
「そうです、あまり危うい者はです」
稲葉も言う。
「殿のお傍に近寄せるべきではありませぬ」
「殿、宇喜多直家はです」
氏家もだった。
「あまりにも油断ならぬが故に」
「斬れというのじゃな」
「はい」
このことは坂井も言った。
「それがしもそう思いまする」
「左様か。しかし」
ここで信長は言うのだった。
「それを決めるのは会ってからじゃな」
「その宇喜多直家とですか」
「そうしてからですか」
「それからじゃな」
こう言うのだった。
「とりあえずは」
「ううむ、それは」
島田も難しい顔で述べる。
「あまりにも危ういかと」
「左様です、あの者は謀を常としています」
大津も松永を横目で見ている。
「ですからここは」
「会うのもよくないか」
「そう思いまする」
「消しましょう」
ここでだ、菅屋がはっきりと信長に言った。
「備前に入りましたら」
「それがしが宇喜多直家を滅ぼしまする」
柴田は自ら信長に申し出た。
「あの様な輩それがしが成敗致します」
「権六殿が行かれるのならそれがしも」
「それがしも」、
川尻と中川もだった、とにかく織田家の面々は宇喜多直家もまた警戒し備前に入る機に滅ぼそうとしていた、しかし。
信長はだ、あくまでこう言うのだった。
「まあ皆の者急ぐな、まずはな」
「会ってからですか」
「それからですか」
「そうじゃ、そうする」
それからだというのだ。
「それでよいな」
「殿はいつもそう仰いますが」
林通具が困った顔で言うのだった、信長に。
「相手が」
「この目で見てから決めるというのがわしじゃからな」
「だからですか」
「今回もそうする」
「仕方ありませんな、しかし」
通具は信長のその考えには頷いた、しかし。
ここでだ、こうも言ったのだった。
「若しもです、あの者が僅かでもおかしなものを見せたが」
「その時はじゃな」
「はい、殿には指一本触れさせません」
こう言うのだった。
「そのことはご安心下さい」
「わかった、ではな」
「それでは備前に入り」
「攻めるぞ、降る者はそのまま入れる」
織田家の中にというのだ。
「そしてな」
「そして、ですな」
「そのうえで」
「そうじゃ、進む」
備前の国もというのだ。
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