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戦国異伝
第百八十六話 国崩しその八

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「それがしがですな」
「御主は小竹、鹿之介達と共に但馬に向かいじゃ」
 そしてというのだ。
「そこで猿夜叉と共にな」
「山陰を攻めよと」
「まずは鳥取の城を陥としな」
「因幡をですな」
「あの国を手に入れよ、よいな」
「畏まりました」
「そうせよそれから出雲に向かえ」
 因幡の次はというのだ。
「わかったな」
「畏まりました、ではすぐにも」
 羽柴だけでなく秀長と山中もだった、信長の言葉に応える。
 彼等のその言葉を受けてからだ、信長は他の家臣達にも言った。
「海と陸からな」
「播磨からですな」
「西に」
「そう進みじゃ」
 そのうえで、だった。
「備前、備中と進み」
「安芸にも進み」
「毛利家の本城にもですか」
「進む、そうしていく」
 まさにというのだ。
「わかったのう」
「はい、では」
「そのことも」
「そうしてじゃ」
 信長はさらに話す。
「毛利を降してな」
「殿、武田ですが」
 ここで林が信長に警戒する目で言って来た。
「どうやら上杉と共に」
「そろそろじゃな」
「動く気配を見せだしています」
「そうじゃな、北条もな」
「間違いなく東国とも戦になります」
 その武田、上杉、北条とだというのだ。
「この三つの家とも」
「やはり動くか、どの家も」
「兵をそれぞれの本城の周りに集めだしております」
 そうなっているというのだ。
「ですから」
「毛利との戦は早く終わらせねばな」
「そう思いまする」
「では殿」
 長谷川も信長に言って来た。
「すぐに播磨に入り」
「姫路を拠点としてな」
 ここを足掛かりとしてだった。
「進もうぞ」
「そうしましょう」
「毛利は侮れぬ」
 このことは言うまでもなかった、伊達に山陽と山陰をほぼ完全に手中に収めている訳ではない、それにである。
「しかも毛利元就はな」
「あの御仁の謀は恐ろしいものがあります」
 竹中がこのことを言って来た。
「まさに謀神です」
「毒に刺客にじゃな」
「何をしてくるかわかりませぬ」
 それでだというのだ。
「御身の周りは」
「常にじゃな」
「はい、お気をつけ下さい」
「それでは殿は」
「我等が命にかけてもお守りします」
 毛利と服部がすぐに名乗り出て来た。
「毒も刺客もです」
「近寄せませぬ」
「兵でもです」
「我等が率いて」
 池田と森もだった、信長に言って来た。
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