第1章 群像のフーガ 2022/11
2話 情報屋
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え気付く洞察力といい、アルゴには底の知れないところがある。とにかく怖い。
「ど、どういうことだ………?」
「にひひひひ、いいんだヨいいんだヨー。リンちゃんも男の子だもんナー。ヒヨリちゃんなんてオレっちから見たらすごい羨ましい身体つきしてるものナー。………ところで、昨夜はお楽しみだったかイ?」
「黙れ!」
こんな感じでいいかい?と、手帳にいかがわしい見出しで何やら細々と書かれたページを見せられる。何とかして奪おうとするも、敏捷極振りのスピードに付いていけるはずもなく、泣く泣く断念せざるをえなかった。
しかし、よくよく考えるとアルゴ自身はヒヨリを可愛がっている為か、ヒヨリに迷惑が掛かるようなネタを世に出す真似はしない。そもそも《事実でないネタ》の流通は情報という不明瞭な商品を扱う上では最も避けなければならないだろう。それこそ、信頼を失墜させるには十二分なのだ。それにそんな事実がないことくらいはこの情報屋自身が理解していると思いたい。実際にアルゴもページを破いて捨てる。丸められたページは地面で一度バウンドするとガラス片となって消えた。もう、これが誰かの目に触れる機会は永劫来ないはずだ。遊ばれた側からすれば甚だ迷惑であるが、これで安心である。
「二人とも仲が良いんだねー」
「うん、そーだネー」
全力で否定したいところだが、それでもこいつには世話になる事も多い。ここは大人になって口を噤んでおこう。
「ま、厨二剣士のネタは記事にしたところで何番煎じかわかったもんじゃないからナ。今回はお得意様へのご挨拶ということで手を打とーじゃないカ」
「そんな挨拶だと顧客減らすぞ」
「そこは信頼と実績と明朗会計でカバーだナ!」
信頼と実績はともかく、明朗会計という点については如何なものか。と頭を悩ますと、アルゴは街の噴水広場を指差す。
「それと、今日の夕方四時に広場で第一層のボス攻略会議をやるそーダ。リンちゃんも興味があったら見てもいいんじゃないカ?」
それだけ俺に告げると、今度はヒヨリと何かを言い交し、軽い別れ文句を最後に鼠はその名に違わぬ俊敏さで街を駆け抜けていく。
彼女曰く「他の仕事で予定が詰まっている」のだとか。繁盛しているようで何よりだと思う傍ら、あれは死なないなと心の何処かで安堵する。
「じゃ、そろそろ戻るか」
「あ、そういえば燐ちゃん。アルゴさんから聞いたんだけど、さっき道端のお店で何を買ったの?」
しかし、しっかりとバラされていたらしい。気付くと手に爪が食い込むんじゃないかというくらいに拳を握っていた。
「………手袋と、剣をしまうやつだよ」
「え、どんなの? 見せて見せてー!」
そのあと、俺は民家の一室で厨二剣士と
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