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IS レギオン
第6話
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最後の力を振り絞って、後ろの腰の部分に差してあったある物を取り出し口に銜え(くわ)、放った。

 その放った物は、簪の頸動脈に刺さり、簪はその物を抜き、それを見て驚愕した。
それは、吹き矢の矢であった。

 吹き矢とは、主に東南アジアが発祥だと思われがちだが、本当の発祥地は正確には分かっておらず、特に密林などの狭く、槍や弓といった物が使用が制限されるところでは絶大な威力を発揮し、しかも、槍や弓よりも登場時代が遅いという特徴もある。(しかも、一部資料には、銃砲よりも遅いという資料もあった)

 その直後、簪は自身の気が遠くなる気がし、目の前が突然暗くなり、眠気が遅い、どこか遠くで「それまで...」と言う声が聞こえた気がした。

 「そこまで、勝者、更識刀奈!」
と言う審判の甲高く鋭い声が道場内に響いた。
「ハア、ハア、ハア、さすがに危なかったわね…」
と、息も絶え絶えな声で刀奈の呟きが漏れていった。

 何故その様な事になったのかはこれから説明したい。

 「これで、終わりだよ!刀奈さん!」
と懐まで瞬歩で迫り、一気に勝負を掛けようとして、ナックル・ダスターを刀奈の腹部に食らわせようとして拳を構え今にも放とうとした一瞬の隙を狙い刀奈が最後の力を振り絞り、即効性の麻酔針を仕込んだ吹き矢を躊躇なく放ち寸分違わずに簪の頸動脈に刺さった。

 そして、即効性の麻酔が素早く体に回った簪は手と身体全体を床に着いた後に「数、数、数」と寝息を立てた。その後、刀奈も気力と体力の限界を迎えたかのように簪の向かい側に倒れ伏すように眠りに落ちていった。

 「これで次期楯無家の名を受け継がせる事が出来るな」
と試合直後に二人が楯無家の使用人とお抱え医師団の手によって運ばれる中、現頭首である更識楯無(本名 隆元(りゅうげん))が呟いた。
「でも、これから本当にあれをするつもりなの?あなた」
と何かを心配そうに呟いた(さざなみ)を隆元が咎めた。
「仕方がないだろう、それが私たち一族が代々受け継いでいる決まりなのだから」
と何か悲しそうな声で隆元が呟いた。
「でも、あの子達仲がいいのよ。それを...」
「いい加減にしなさい!これは決まったことだから」
と無理矢理その話題を終わらせた。

 それがどの様な事なのかは、隆元のほか一部の人しか知らない。そして、あの二人の運命は、大々的に大きく変わることになる。しかしそれも決まったレールの上を走る電車のように止まらない。
 ちゅん、ちゅん、と小鳥が囀る声とともに暖かい日の光が和室を満たしていきそこに寝ていた二人の姉妹の寝顔を照らし出していった。

 「あれ、ここ何処だろう?」
とそこで寝ていた、簪が目を覚まして呟いた。
「あら、簪ちゃんもお目覚め」
と隣で寝ていた刀奈が簪の
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