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IS レギオン
第5話
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色々な経験を僕に教えてくれて、頼みごとをしたんだ。「自分の代わりに種を飛ばしてくれって、その代わりに、暫く自分の力をあげよう」って言われて、僕は、「いいよ」っていったんだ。」
と一夏は、千冬の他にも周囲の大人たちにも聞こえるように言った。すると、それまで黙っていた茂と高嶺は、
「一夏((いっ)ちゃん)、お前は偉いなあ(偉いわねえ)」
と言いながら姿の変わった一夏を二人は抱きしめた。

「話の途中ですが、すみません」
と医師が言おうとするが、茂が、
「すまんが、先生。今は、そっとして欲しい。後で一夏の今後について話し合おう」
と言った。

 すると、一夏は思い出したよう、
「あ、そうだ、まだ言わないといけないことがあったんだ」
というと、皆を少し下がらせてから、腹部を撫でた。

 すると、腹部の赤い部分が発光し、そこから、およそ猫くらいの大きさの一夏が変化した後の特徴を残した、黒い身体と胴体中央に大きな1つの眼を持ち、その両端に小さい眼が2つずつ、計5つの眼を持つ生き物が多数現れ、一夏の周りを守るように陣形を作った。周囲を警戒するように、一匹、一匹の大きな目が盛んに動かし、頭部の鋭利な三本の角と四肢から延びる日本刀のような棘を前面に押し出し隙のないファランクス(密集陣形)を醸し出していた。

 「何なんだ、こいつ等は」
「大丈夫だよ。僕の友達だから」
と少し後ろに下がった千冬が言った後、一夏は、笑顔で解答した。
 「一夏、すまんがこいつ等を下がらせて欲しい」
と茂が言うと、一夏は、
「良いよ。みんな戻って」
と言うと小型の生き物は、一夏の赤い部分に戻っていった。

「そういえば、一ちゃんが出会った生き物って名前はなんていうの?」
とあまり動揺していない高嶺が聞いた。
「ええっと、その生き物は、名前が無いから僕に名付けて欲しいって言ったから、僕は、その生き物に『レギオン』って名付けたよ」
「レギオン?」
「うん、前にお祖父ちゃんの家にあった聖書の一節に書いてあって、それを思い出したんだ」

 そういうと、一夏は、
「少し、疲れちゃったから寝るね」
と言って、変化を解くのと同時に前に倒れるようになったが、千冬が抱え込むように抱き留め、
「お休み、一夏」
と言って、優しく長くなった一夏の髪を撫でた。

  眠った一夏がストレッチャーで個人用入院病棟に運ばれてから、茂碁千冬と高嶺にこう言った。
 「では、私は、先生とお話があるから先に病室の方に行ってなさい。高嶺、ついて行ってくれ」
「分かりましたよ。では、千冬ちゃん一緒に行きましょうね」
と言ってから優しく千冬の手を握り、診察室から出ていった。

「さてと、今回の件については、一切の他言無用で頼む。」
と茂は改まった口調でそう告げる
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