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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
近付く者達
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無邪気な笑顔に似合うVサインを突きつけられた。それに苦笑を返しながら、少年は起き上がる。
「いやぁ、あぶなかったあぶなかった。もう少しで普通に死んじゃうトコだった」
「ちょっと油断が過ぎてたのかもね。ここからは気をつけて行こ、レン」
ん、と頷きを返し、レンは少女の手中の銃に視線を向けた。
「ところで、初めて撃った訳だけど、どーだったの?反動とかキツかった?」
「んーとね、反動はそこまででもなかったよ。でも、
引き金
(
トリガー
)
に指かけたら円が出てきた」
円?と少年は首を傾ける。そんなもの出てきたっけ。
「たぶん撃つ人にしか見えないものだと思うけど、これが
GGO
(
ガンゲー
)
ならではのシステムアシストなのかなぁ。それにしてはでっかくなったりちっちゃくなったりしてたけど」
「そういえば、弾が飛んでくる前に赤い線も見えたね。それもシステムアシストじゃないかなー」
今の時点でわかるのはそれくらいだ。この二人に限った話ではないが、六王達というのは能力だけはあるため、アドリブで状況を打破する癖がある。なまじ状況を打破できる力を持っているので、それらを問題ともそんなに感じていないのもまた問題なのかもしれない。
のほほんと感想を言い合って、両者はやっと周囲を見渡した。
下の階層とは比べ、ずいぶんと狭いエレベーターホールだ。客用に開放されている一般階層と違い、船主室や操舵室などがある最上階層はそういう配慮が要らないためだろう。
一片の温かみもない鋼鉄の床に鋼鉄の壁。というか、エレベーター《ホール》というより、廊下の途中にエレベーターの扉があるような感じだ。どこまでもシステマチックである。
少しはなれたところにはドアがぽつんと据えられ、半開きになっていた。
「あそこだね」
「大丈夫かな。罠の可能性も――――」
「罠はる時間あった?」
「……それもそっか」
しかし無遠慮にドアを開けてその瞬間ブッ放されたら堪らない。
映画の特殊部隊っぽい動きでドアの両側に張り付いて、頷きあう。今ある武装で破壊力があるユウキがドア
突破
(
ブリーチ
)
役、俊敏さで遥かに勝るレンが制圧。
無言でここまで意思疎通できるのも、従姉弟という関係性ゆえなのかもしれない。
「カウントスリー。…………2、1……ゴー!」
言葉とほぼ同時、半開きのドアの隙間から
全弾全射
(
フルバースト
)
。発射音が途切れる途端、ユウキが蹴り開けたドアから全力で突入する。
まず視界に入ったのは、少女のマシンガンの一斉掃射を受けてズタボロになった艦長椅子だ。その向こうにある難しそうな計器類にも弾幕によるデンジャラス被弾があったのだろうが、幸いにもそれらは
破壊不能
(
イモータル
)
オブジェクトに指定されているようだ。
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