暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
近付く者達
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い。仮にも六王末席に座していた《絶剣》だ。心配をすること自体が、彼女――――六王そのものへの侮辱のようなものになる気がする。

音の弾幕がエレベーターを襲う。上品なアイボリーホワイトの壁が粉々に砕け、宙空を舞った。

その破片一つ一つがスローに見えるほどの速度域に達した少年は、火を散らす幾十の銃口に向かって足を向けつつ、体勢が崩せる限界にまで身体を床と平行になるように沈みこませる。

見たものが見たら、それは走っているとはとてもではないが信じられなかったかもしれない。言うとすれば、そう。滑っている、だろうか。

後頭部の上では、ババババッッ!という音を通り越し、バ――――ッッ!!!と一つの音、ちょうどチェーンソーのエンジンをフルスロットルにした時のような爆音が炸裂している。

ヂッ、ヂャッッ!と、沈み込みすぎている体勢のせいで床と時々接触するタキシードの胸元が悲鳴のような効果音を奏でる。

一瞬にしてエレベーターの前でバカ正直に整列して待ち構えていた黒尽くめ達のうちの一人の股下をくぐり抜け、そのまま体勢をぐるりと回転。

万が一を考慮してか、彼らは壁を背後に陣を構えていたのだが、それでもレンのアバターは小さすぎた。その背と壁のわずかな隙間で体勢を交換し、靴の裏にしっかりと大理石の感触を確かめる。

タキシードの裏側から、すらりとサバイバルナイフを抜き取る。

正直、短剣(ナイフ)を持つのは超久しぶりだ。あのアインクラッドで鋼糸(ワイヤー)を手に入れるまでずっと手中にあったのは《小太刀》――――刀身の長い短剣だが、それすらもSAOの崩壊とともに消滅したはずだ。

―――ん?

微かな違和感のような、それこそ小骨がノドに引っ掛かったような感覚が脳裏に走るが、しかし今は現状を打破することが先か、と思い返してナイフの切っ先をまさに振り返ろうとしている黒尽くめの首筋に向けた。

侵入者達は、唸る弾幕を超えてやって来たチビの存在にも的確に反応し、重そうなアサルトライフルの銃口を勢いよく巡らせる。しかし、その速度を見て少年は冷静に判決を下す。

遅い、と。

そんな少年は気が付いていないかもしれないが、その手はいつの間にかナイフを裏手に持っていた。

そう、あの城でレンが幾多の屍の山を築いた頃の戦闘スタイル。どれだけのブランクがあろうが、無意識のうちにレンの《底》はソレを一瞬で埋め立て、その頃を完璧にトレースする。

音はない。立てたら振り返る銃口が、焦りとともに加速するのを理解しているから。

明るい蛍光灯の薄っぺらな光に照らされる中で、肉厚の刃が冷酷で酷薄な反射光を発する。それが一瞬とも呼べない間隙の後、重厚な光が揃えられた雁首を一閃した。

血液を思わせる真紅のパーティクルが飛び散る。が、さすが
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