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魔法科高校〜黒衣の人間主神〜
九校戦編〈下〉
九校戦四日目(1)×新人戦と名無しの力始動
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、真由美だけならまだしも市原まで一緒に席に外すのはどうかと思うが」

「問題ありません。今日の私は強制オフみたいなものです」

「・・・・お前の冗談は相変わらず分かりにくいぞ、市原」

ニコリとも返された答えに、一瞬、参謀の役目を事実上取られてしまった事に不満があるのかと摩利は疑った。無論そんなはずじゃない事も知っている摩利も知っているが、鈴音は作戦スタッフの総責任者だが個々の作戦立案は分業体制に従っている。あと作戦スタッフは四人しかいないのも知っている。最も大きな担当分けは、男子の試合は男子スタッフが作戦を立て、女子の試合は女子スタッフが作戦を立てる。本日の競技では、女子スピード・シューティングが鈴音の担当種目だが元々この競技は詳細な作戦が入り込む余地の無い、能力任せの色彩が濃い。選手特性に応じた魔法種類選択とそれに合わせたデバイスのセッティング傾向になるのを参謀がやるが、それを全て一真一人でやってしまったからだ。プラン自体は鈴音に事前報告を済ませている。

「さて・・・・考えてみれば、アイツのエンジニアとしての腕を実戦で見るのがこれが初めてだな。その次はいよいよ蒼い翼特別推薦枠である名無しの出番ともなるが」

好奇心剥き出しにした摩利の言葉に、真由美も興味津々の表情で頷いた。

「そうね。私の時はお手伝い程度だったし。彼が一から調整したCADがどんな性能を見せてくれるのか、楽しみだわ。それについては私も楽しみよ、どういうハンデなのかまだ分からないけど」

「北山さんを始めとして、九校戦発足式後からは選手から好評のようです。懇親会後に一年生女子だけを地下温泉に入らせた許可をあげたのも彼だと聞いています」

一科生のみで構成される一年女子の選手団は、発足式後にも時々練習を見てきては一人一人アドバイスに回ったり、デバイス調整はしないが軍医とカウンセラーの資格を持っているのか。二科生が自分のデバイス調整を任せるという事の抵抗感は一切なかった、十分実力も見せているし蒼い翼からの特別推薦枠を取るという事は実力を隠しているかのようにも思えた。

「今日も自分のCADを持ち込んでいる選手もいたようです」

「おいおい・・・・競技に差し支えるんじゃないか?」

「その辺りは織斑君の方で上手くコントロールしているみたいですね。サービスは試合前後だそうですよ」

サービスというのはデバイス調整の事で、一真が調整した競技用デバイスを使った選手が、私用のデバイス調整まで持ち込んでくるようになった。それも一年生女子全員が、持ってきていると知った一真(ゼロ)であったが競技に合せて使うようにした。

「発足式後から着々とファンを増やしているようね」

「アイツは人当りもいいし、好意を持つのが当たり前とでも言った方がいいのか」


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