九校戦編〈下〉
九校戦四日目(1)×新人戦と名無しの力始動
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「一真さん、やっぱり雇われない?」
「・・・・この試合直前に冗談を言うのであれば大丈夫のようだ」
「冗談じゃないよ」
雫が言っている事は「自分と正式にデバイスメンテナンス契約を結ばないか」という意味だ。雇われないか?という質問はもう十回は超えている。雫の性格からして同じ冗談を繰り返したりはしないだろうが、本気のようだ。
「専属じゃなくてもいいから」
競技用デバイスのアレンジ参考にする為、一度見せてもらった雫のデバイスは一真が手を加える余地がないくらいに調整されている。雫のデバイスをメンテナンスしているのは、現在この国に五本の指に入ると言われている有名魔工師である。雫の、というより北山家の、と言った方が正確かもしれないが。北山家は有名な大富豪であるが蒼い翼のような超が付くほどの大富豪という称号は零家と織斑家が相応しいと思った。北山家は十師族や百家のような名門ではない。一流魔法師である母親が北山家の跡取り息子に見初められてゴールインした。という事情で父方の家系に魔法師はいないし歳の離れた弟も実用レベルと言える程の魔法素質がない。要するに父親は雫に対して親バカな一面があると見る。雫がモノリス・コードにすっかりはまったのも、父親が財力にものを言わせた魔法競技観戦ツアーを毎年組んでるほどだ。
「・・・・何度も言っているけど、俺はライセンスを持っているが蒼い翼所属の者だ。抜き取るのであれば、直接蒼い翼に頼み込んでくれ。俺だけの問題ではなくなるんでな」
雫が提示してきた契約金と作業料は、零達也の時に巨額と言える年収並みにも言えるんじゃないのかという位の破格な値段だ。学校行事の一環でやっているから無報酬で調整するのと報酬を受けての仕事とはワケが違う。
「分かった・・・・九校戦が終わったら父親に聞いてみる」
いつものように聞き分けて頷いたが、まだ諦めている様子ではなかった。だけど巨大グループである蒼い翼相手には、雫のみでは難しいだろう相手だ。何しろ大富豪という称号からの頂点でもあるからだ。選手に悪影響が無ければ問題ない会話でもあるし、緊張がほぐれているから問題ないと思った。作戦は事前に何度もミーティングを重ねてから、雫のために考案しその為のデバイスを組み立てた秘策がある。秘策は決勝トーナメントとなるが、予選は軽くイケるだろう。
「いよいよだな、雫。雫の後はいよいよ名無しの出番となるが、気にしない方がいい。決勝トーナメントは男子の方だから」
「うん。私の後の一真さん・・・・名無しさんがどういう風にやるか楽しみ」
出番を前にして、言うべきは一つしかない。
「頑張って行って来い!」
「うん、頑張る!」
単純だが、それこそが最後の緊張をほぐすためでもあった。雫が前を向いて行った後に、ゼロは本体
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