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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 後編
春告ぐ蝶と嵐の行方 2
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橋の寸前まで進む。そして、

「そこの木陰に隠れてる十一人。出てきたらどうだ」

 と告げた。向こうも驚いたのだろう、暫しの間が空いた後、勝気にニヤニヤと笑みを浮かべる真っ赤な髪と唇をした女性が橋の向こうに現れた。ロザリアだ。
 彼女は携えた細身の十字槍の石突を地面に落とすと、自身が圧倒的優位にいることを誇示するような勝気な笑みを口元に刻みながら言った。

「アタシのハイディングを見破るなんて、なかなか高い索敵スキルね。あなどってたかしら?」
「さあ。どうだろうな?」

 相手と同じ、片方の口元を不自然なまでに持ち上げた、相手を馬鹿にした笑顔を向ける。ロザリアは歪めた唇を戻すことなく鼻を鳴らすと、尚も俺を見下した口調で続けた。

「ま、いいわ。それで? あの娘はどこなの? 《プネウマの花》は取れた? ……まさか、あの娘まで死んじゃったのかしら?」

 ニヤァ、と、ロザリアの口元に結ばれた笑いが、一層卑しさを増す。

「さあな。それをお前が知る必要はない。犯罪者(オレンジ)ギルド、《タイタンズハンド》リーダー、ロザリア……と、言った方がいいか?」

 が、俺がそう返した途端、彼女の眉が一度小さく反応し、同時に口元から笑みが消えた。その分、俺が顔に貼り付けた笑顔の濃度を高める。俺とロザリアの視線が、小さな橋の上で衝突して陰湿な火花を散らす。
 先に目を切ったのはロザリアだった。一瞬伏せた目を彼女が戻した時には、その顔は再び毒々しく歪んでいた。

「なぁーんだ、そこまで知ってたの。なら話は早いわね。せっかく美味しそうなパーティーを見つけて、戦力を評価しながら冒険でお金が貯まるのを待ってたっていうのに、一番楽しみだった獲物のあの娘(シリカ)が抜けちゃったじゃない? で、どうしようかと思ってたら、なんかレアアイテム取りに行くっぽいし。どうせなら、あの娘から先にヤッちゃおうと思ったわけよ。ああそうそう、あんたには感謝してるわよぉ。こっちが知りたかった情報をペラペラ教えてくれちゃって。おかげで情報収集の手間が省けたわ。《プネウマの花》って今が旬だから、とってもいい相場なのよねぇー」

 言っているうちに動揺が抜けたのか、言葉が進むに連れて彼女の口調は饒舌(饒舌)さを増す。そしてロザリアは一度そこで口を閉じると、肩をオーバーにすくめてみせた。

「でもさぁ、あんた、そこまで分かってるくせにノコノコあの娘に付き合うなんて、バカなの? それともまさか、あの娘に体でたらしこまれちゃった?」
「残念ながら、どちらも不正解だ。――何、簡単なことだ。俺も、お前達を探していた」
「――どういうことかしら?」

 鼻を鳴らし、顎を前に突き出して、こちらを見下すような視線を向けるロザリア。俺が挑発に乗ることなく、それまでと変わら
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