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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第105話 ドジっ娘メイド技能?
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 その瞬間――

「きゃっ!」

 どう見ても勘が良い、とは思えない彼女。しかし、何故か今回に限って、彼女に向けて振り下ろされた不可視の刃に気付いて仕舞った朝比奈さん。
 更に今回の場合は、彼女の居場所及び体勢が悪い。
 朝比奈さんが居るのは俺と万結の間の狭い場所。万結が他人に対して身体を避ける訳がないので、必然的に彼女自身が身体を捩るようにして少し前かがみに成り、湯呑を俺の前に置こうとした直前だったので非常にバランスの悪い状態。

「おっと!」

 心の中でのみ軽い舌打ち。矢張り、久米仙人の前例に示される通り、仙人に取って女性の色香と言う物は修行の妨げに成るしかない、と言うのか。
 一瞬の隙を突かれた事に対する言い訳めいた内容を、心の内にのみ浮かべる俺。しかし、死に神と言う存在は大抵の場合、そう言う一瞬の隙に自らの傍らへと忍び寄るもの。今回が本当の意味で命を賭けた戦いでなかったが故に、何も失わなかったと言うべきなのでしょう。

 少し自戒めいた思い。そして次の刹那。
 彼女が倒しかけた湯呑を右手で。見えない何かを無理に躱そうとして仰向けに倒れ掛けた朝比奈さんを左腕で。
 そして、彼女の鼻先を掠めた見えない何か――相馬さつきの作り出した気の刃を、俺が作り出した見えない刃で宙空にて迎撃し、消滅させて仕舞う。

「大丈夫ですか、朝比奈さん?」

 左腕でメイド姿の彼女を抱きながら、そう話し掛ける俺。ごく稀に訪れる二枚目に相応しいシーン。
 もっとも、今回の場合は俺がもう少し早い段階で見えない剣を弾いて置けば、朝比奈さんが俺の腕の中に倒れて来る事もなかったのですが。更に言うと、彼女に直接害が及ぶ位置にさつきが殺気を放って来たとは思えないので、朝比奈さん自身が気付かなければ、何の不都合もなかったはずなのですが……。

「だ、大丈夫ですよ、武神くん」

 自分が何に驚いて倒れ掛けたのかまったく理解出来ていない雰囲気の朝比奈さんでしたが、それでも、何故自分が床に仰向けに倒れていないのか、については理解出来たのか、少し上気した表情ながらも、ちゃんと答えてくれる。
 ――抱き留められた俺の左腕の中から。
 しかし……。
 ここで発生する一瞬の空白。俺は自らの腕の中の少女を見つめ、
 彼女も俺の瞳を見つめ返す。

「あ、あの、武神さん……」

 かなり控えめな雰囲気で話し掛けて来る朝比奈さん。しかし、肝心の俺がこの異常事態に認識が追い付いていない状態。何と言うか、重要なパーツが不足していると言うのか、話のテンポが悪いと言うのか。とにかく、凄く座りが悪い……宙ぶらりんな状態と言う感じ。
 そうして、僅かな空白の後……。
 かなりの疑問符を浮かべたメイド姿の少女から、正面に座る団長殿に視線を向ける俺。

 そ
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