マブラヴ
0823話
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のは、20代程の赤毛の女。
「ああ、よろしく頼む」
短くそう告げるが、そもそもペイント弾を使っている以上、勝敗で迷う事はないと思うんだが。
そんな風に考えていると、再びCPからの通信が入る。
『その、そちらをなんとお呼びすれば?』
ああ、コードネームか。そうだな……なら。
「アークエネミー1とでも呼んでくれ」
『アークエネミー……ですか? はぁ、分かりました』
俺の言葉に戸惑ったように返事をする女。
本来であれば大魔王でもあるグレートサタンと名乗りたいところなのだが、どうにもドラゴンボールのミスターサタンを連想してしまう為にそう告げる。アークエネミーにしても大敵という意味だ。俺を現していると言えばこれ以上無いコードネームだろう。
『では演習……開始です』
最後の通信は当然F-15Cのパイロットの方へも流されていたのだろう。
その言葉が響いた瞬間に俺が借りている銃と同じものをこちらへと向け……ようとして腕を動かした時には、既にその装甲には幾つものペイント弾が命中し、真っ赤な華を咲かせていた。
『え? あの、その……え?』
CPから伝わってくる困惑。
ここにいる俺には分からないが、恐らくそれはこの演習を見ていた他の者達にしても同様だろう。
何しろ開始数秒……いや、1秒も掛からずに勝負が決まったのだ。
だが、それも俺にとっては当然の事でしか無い。やはり戦術機というのはまだ色々と未成熟なのだろう。動き出そうとしてから実際にその命令が機体に伝わり、機体がそれを実行するまでの速度が酷く遅い。
それこそ、SEED世界に転移した時に戦ったストライクダガーの方がまだ動けているというレベルで。
「さて、勝負はついたが……次の模擬戦は何機が相手だ? 2機? 3機? 俺は何機でもいいから、そっちで決めてくれ」
リトラスへと通信を繋げ、そう告げる。
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