第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『Blade Arts』
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た最愛が二機の駆動鎧を相手にしている。しかしやはり、向こうも多勢に無勢でかなりの苦戦を強いられている。
せめて、フレンダが居てくれればまだやりようもあったが。そこは自業自得、無い物強請りなど無意味が過ぎる。
──そうだ。俺は……化け物だとしても、対馬嚆矢。それ以上でも以下でもない……!
歯を喰い縛り、全身で気を取り直す。何とか回復した身体を、全霊で立て直す。まだだ、まだ闘える。死ぬまで、闘い抜く。闘わねば。
せめて、この指揮官機だけでも討てば……最愛が逃げるだけの時間は稼げる筈。その程度の事はやらねば……
「変態紳士の風上にも置けねェ……ッてなモンだ!!」
構える。馬鹿の一つ覚えの『合撃』の構え。『後の先』を期する合気剣、窮めた者は『相討ちこそ在れど、敗北はない』とされる一刀を。
『良い気概だ……ならば、武芸者として応えねばな!』
対するは、『応無手突』。穂先近くを保持し、石突を地面に着く程に短く槍を構える。共に、反撃狙いだ。
「『────…………」』
じり、と。牽制を交わし合う。共に狙うものが反撃である以上、先に動いた者が負けるのは明白。武芸者同士の闘いなど、単純明快。だからこその、雑じり気無しの純粋な実力勝負。
懸念は、ただ一つ。此方が寡勢だと言う事。もしも今、横槍が入れば────敗北は避け得ない。最愛が敵を引き受けている間に、勝負を決める必要がある。
《だが、先に手を出せば此方の負け……いやはや、雪隠詰じゃな。呵呵!》
(……愉しそうだな、アンタ。此方は命懸けだぞ?)
背後では、“悪心影”が嘲笑っている。耳障りな声色で、耳ではなく魂を震わせて。心底、嚆矢の窮状を嘲笑している。嘲弄している。
本来ならば、向ける意識ですらも隙であろう。しかし、その不快に従って言葉を返せば。
《は? 勝負が命懸けなぞ当たり前じゃろうて? 武を競う、覇を争うとはそういうものじゃ。他に何がある?》
(……そうか、アンタは……)
『命の価値などその程度』とされた時代の、本物の『武者』にして『魔王』だった事。それを思い知らされた。
《しかし、勝ち目なら在る。それは、ただ一つのみ……単純明快》
耳許で、熱い唇が蠢いている。氷点下の舌で、舐め刷りながら。
《儂の異能を信じて振るえ────唯一、それだけじゃ》
「────…………」
その言葉。嘘偽りの無い、真実。導くように、『這い寄る混沌』の一つはそう、口にした。
「
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ