第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『Blade Arts』
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違いなく、腕を買われて学園都市に来たのだろう。
「……我流門弟、正体など非在。名など、語るに及ばず」
古式ゆかしく名乗りを上げた敵に返った応えは、そんな不躾。それでも、判り易いくらいに敵は歓喜を表して。
『一向に結構。征くぞ────!』
「っ……グッ?!」
その寸暇に、無音の絶叫と共に一ノ槍が繰り出された。目線に合わせられ、長さすら判別不可能だった槍が延びるかのように、身体その物を乗せた突き『倒用』を。それをショゴスが自動で防ぎ────喉からの声を防ぐ。
『物理無効』のショゴスを易々と突き破り、背後の壁を突き通した槍に反撃すら儘ならない。そもそも此方の殺傷範囲に敵が入らないのだから、闘いようがない。
その槍の、石突近くを持つ敵の体が流れる。左の此方側に身体を開くように。寒気に、身体を────平伏すように沈み混ませた頭上を、壁を切り裂きながら広範囲を凪ぎ払う『大乱』が走り抜けていった。
大きく体勢を崩した敵、今なら届く。この刃を────撃ち込める?
《焦るな、たわけめ! 槍術を侮るでないわ!》
「クッ……!」
“悪心影”の叱咤に、思い直して引き寄せた長谷部。丁度其処を────振り抜くと見せ掛けて右手を添え直した目にも留まらぬ速さの突き、『稲妻』が襲った。
刃鳴散らせながら、辛うじて防ぐ事に成功する。もし、僅か一瞬でも攻撃に転じていれば……既に、この命はあるまい。
『やはり遣えるな……余程、良い師から学んだと見える』
「ソイツは……どうも……!」
『だが、それでも……我が“神”の御力の前には無意味』
三メートルも吹き飛ばされ、無様に着地しながら。禍々しい穂先に抉られた左胸の胸筋、その疼きを味わいながら。
『この“屍毒の槍”の前に、あらゆる命は無為なり!』
ヒュン、と風を斬る鋭利な穂先。嚆矢の血を纏い、歓喜するように艶めいて見える。どうやら『賢人バルザイの偃月刀』と同じく、この世の道理に収まらないものらしい。ショゴスを貫けるのもその為か。
何より、疼く。悪質なまでに傷が。そして気付く、あの槍の真価。
「……毒、か。しかも、猛毒」
《うむ……解毒は済ませたが、あれは不味いのう。ぐらーき……死人教の神、旧支配者か》
『旧支配者』、前にも聞いた言葉だ。確か、あのミミズ男から。
では、この仕事もまた、魔術がらみ。失敗する危険性は高い。そもそも前回は一対二だったが、今回は……不味いほどに寡勢だ。
離れた位置では、警備ロボットを半減させ
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