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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『Blade Arts』
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──柄の石突付近で、最愛の足を打ち払う。『柄還(ツカガエシ)』、と呼ばれる槍の技法だ。

 駆動鎧の膂力に自らの力を上乗せされ、さしもの『窒素装甲』も効果を破られる。脚が払われれば、後は辰気(じゅうりょく)に引かれて地面に叩き付けられるのみ。
 そして、叩き付けられてしまえば──後は、為す術がない。正しく、まな板の上の鯉だ。

『────“(おご)れる者は久しからず。ただ、(ひとえ)に風の前の塵に同じ”』
「くっ────!?」

 『窒素装甲』により、防御を試みる最愛。しかし、駆動鎧の『空力使い』により辺りの大気の組成が組み替えられている。
 低所に(わだかま)る、二酸化炭素の空間に呼吸を妨げられる。駆動鎧には何ら効果はないが、唯一生身の最愛には効果覿面。それに意識が朦朧と、演算すら儘ならなく。

影斬(カゲキリ)

 黒い十文字槍が降り墜つ事にすら、まだ気付かず────!

「────『捷径(ショウケイ)』!」

 下段八双(ハッソウ)から、摺り上げる長谷部で槍を弾き────上段まで昇った勢いを反す太刀に乗せる。結果は、刀と槍による鍔迫り合い。

『良い腕だ、小僧! 新陰流、かの大流派とこんなところで相見えるとはな!』
「そりゃあ、此方の台詞だ……槍使いの信徒! 破戒僧が!」
『ハハ、如何にも! 分かるか、やはり!』

 峰を押す事で鍔迫り合いの必勝を期す『小詰(コヅメ)』を為すも、先に間合いを切られ、ダメージまでは届かない。僅かに、駆動鎧の表面を刃が撫でたのみ。

「けほっ……ジャーヴィス……」
「さぁ、立て。闘えるな? 頼むよ」

 立ち上がらせ、呼吸を取り戻させた最愛を庇い立つ。入り口からは正反対の壁際、そこに追い込まれて。

「協力しなきゃ、斬り抜けられねェ。ゴメンだぜ、歩く死体の仲間入りは」
「私も超ゴメンです……分かりました。ここは、超協力しましょう」

 何とか協力を取り付ける。それだけの為に一度死にかけるとは、自らの事ながら情けない。もう少し魅力とかカリスマとか在れば、と。

「後、返ったら超反省会ですから」
「オーライ、じゃあまた『ダァク・ブラザァフッヅ』で奢るぜ」
「その言葉、超忘れンじゃねーですよ!」

 警備ロボットに躍り掛かっていく最愛を見送り、長谷部を構え直す。正調上段、『合撃(ガッシ)』の構え。
 だが、不利は明白だ。何故ならば……敵の得物。それが、いっそ清々しいくらいに『流派名』を物語っている。

宝蔵院流(ほうぞういんりゅう)免許……鷹尾 蔵人(たかお くろうど)
「…………」

 やはりかと、溜め息の出そうな流派。『宝蔵院流』。かの胤栄を始祖に持つ、槍における最強の一派だ。
 しかも、免許。間
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