暁 〜小説投稿サイト〜
Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『Blade Arts』
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


──やっぱり、か。どんなトリックかは知らねェが、あの化け物は……俺達学生みたく『能力(スキル)』を使える!
 しかも、どれも強能力(レベル3)以上の質が高い物、戦闘使用に耐えるレベルの物を!

 加えて、どちらも『物理的に破壊できない遠距離用』の類いを。恐らくは、狙って持ち出した能力だろう。最愛の『窒素装甲』を破る為の『空力使い』、嚆矢の長谷部を破壊する為の『表層融解』。的確すぎる程、敵将の采配は的を得ていた。
 それに、嚆矢にはまだ懸念がある。以前相手にした時、あの二人の死人は『一人で二つの能力』を有していたのだ。つまり、最低でも相手は、まだ()()()()()()を持つ可能性がある。

《ふむ……大した慧眼よ。まるで、武田の山本勘助じゃ。あ奴と信玄には手を焼かされたものよ》
(日本史のご教授どうも、で、対策は?)

 脳内に、薄く笑いながら語り掛けてくる魔王の意識に反駁する。それを受け、歴戦の武士は。

《勝てぬなら、死ぬまで待とう、ホトトギス》
(死ねうつけ、明智裏切る、本能寺!)
《ちょ、貴様、幾らなんでも酷くない?! 魔王に敬い、足りてなくない? ばーい、字余り》
「ムッかつくわー、コイツ!」

 物凄い天運任せだった。いや、確かに長篠の勝利は信玄死後の息子・勝頼の時代だったらしいが。
 否、心底日本史はいい。今はなんとしても、生き残らねばならないのだから。

「どうでも良いんですけど、超いい加減下ろせってンですよ!」
「ッと……悪ィ。後、重ねて悪ィンだけど────あの駆動鎧(ラージウェポン)以外は、任せていいかい?」

 わたわたと暴れる、小脇に抱えていた最愛を開放する。流石に、人一人を抱えながら闘えはしない。悪いが、自分の身くらいは自分で守って貰おう。
 そう判断し、最愛には悪いが周囲で煩い警備ロボットを片付けて貰おうと────

「……超巫山戯てンじゃねェです、何様のつもりで、私に超命令してやがンですか!」

 だが、聞く耳等無いとばかりに最愛が駆けた。途中に在る、彼女よりも遥かに大きな金属製の実験器具庫を、片腕で三機に目掛けて投げ付けて。

「チッ……待て、最愛────ヤバいンだよ、ソイツは!」

 その制止が響くより早く、『空力使い』により器具庫が空中で停まる。やがて『表層融解』に融かされ……風に撒き散らされて、跡形もなく消え果てる。

()った────!」

 その隙を縫い、指揮官機に肉薄した最愛。真後ろまで引いた右手に厚い窒素の塊を纏い、駆動鎧ですらも打ち壊し得るだけの力を集中し────

『────(ヌル)いわ、小娘』
「なっ────?!」

 烈帛の一撃を受けた槍が、『流れる』ように動き──
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ