DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十九話
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
遥かかつて、岩戸に籠りし明き女神は、
騒ぎと馳走に惹かれて自らを解き放った。
即ち是暴飲の相也。
神さえその法より逃るる事能わず――――
その名は《暴食》。
――――《惟神》――――
《暴食》』」
直後。
一瞬にして、空を何かが覆い尽くした。
それは、金色に輝いていた。矢じりと馬蹄を足して二で割ったような形状をしていて、U字型の隙間の部分には、《白亜宮》の少女たちの瞳と同じ、紅蓮色の球体が浮いている。まるでそれが目であるかのように、きょろきょろと動いていた。
ヴヴヴ、ヴヴヴヴヴヴ、という異様な音に、よくよく目を凝らしてみれば、その矢じり型の奇妙な何かの左右には、トリスアギオンの背中のそれと同じ色の小さな翅が生えていて、高速で震えているのだ。あれで、空を飛んでいるのだろうか。
そして、トリスアギオンが号令を下すと同時に――――
「食らい尽くせ、《バァル=ゼブブ》」
彼らは、一斉に地表をめがけて、一直線に落下を始めた。
《それ》が激突した個所から、世界が真っ黒になって消滅していく。巻き込まれたプレイヤー達もそうだ。いつの間にか《白亜宮》の少女たちは一か所に固まって、半透明の障壁を貼って自ららを守っている。
シノンの上にも、《バァル=ゼブブ》が落下して来る。
消滅していくアバターの感触に、シノンは震えた。
――――これは。
アンダーワールドで戦った、サトライザー/ガブリエル・ミラーの、底なしのねばりつくような闇とは違う。
何もない、という点では共通しているが、あれは何かに飢えていたのに対して、これは違う。
全てを、自らの意思で、抹消しようとしている――――
それが、シノンがBoB会場で最後に行った思考だった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ