第3話
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簪は、暫くの間イリスの頭部を優しく撫でていた。すると視線を下の地面に戻すと、何かが埋っている事に気がついた。
「何だろう、これ?」
と少しだけその埋っている物を掘り返していった。そして出てきたものは、少しだけ普通の勾玉よりも長い形で、まるで何かの爪の様な形であった。
すると、その勾玉から緑色の光が漏れてきた。
「何だろう、とってもあたたかい気持ちになる、それにイリスの気持ちが理解できる」
と上気した顔で簪は呟いた。それ呼応するかのようにイリスが触手を地面にしっかりと付けて体を浮かせた。そして、頭を簪に向けて、何かを訴えてきた。その時、イリスの頭部が若干光っていたのには、簪は気が付かなかった。
「何、イリスそんなに見つめないでよ、体が火照ってくるよ。」
と、光っている勾玉を持ちながら、立ち上がりながら、火照った体を涼しくしようと、服のボタンを外していった。
するとイリスが、身震いを起こしながら、簪を包み込むように触手を広げた。簪は、イリスが、まるで自分を包み込むのが判るかのように、少しずつふらふらと近づいて行った。
そして、イリスと簪の距離がゼロになり、完全にイリスが、簪を包み込んでいった。
それが、簪にとって歓喜と絶望を生むなど知らずに。
ポチャン,ポチャンと何処からか水滴が垂れる音が聞こえてきた。
「う、うんん」
と声が漏れる、すると、倒れていた簪の閉じていた瞳が開いてきた。
「あれ、私、なんでこんなところで倒れているんだろう?頭がフラフラする気持ち悪い、今何時だろう?」
とポケットから携帯を取り出し、時刻を確認すると少しずつ立ち上がり、元のキャンプ地にフラフラと頼りない足取りで戻っていった。
しばらく歩いていると、気分が少しずつ良くなってきたと思えてきた。そして、
「お姉ちゃん、ただいま」
と笑顔で簪は報告した。
「あら、簪ちゃんお帰り、遅かったわね。もうすぐ、夜ご飯だそうよ」
と刀奈は、笑顔で答えた。すると、刀奈は、簪が今まで身に着けていない物に気が付いた。
「あら、簪ちゃんその首に掛けている物はなぁに?」
その言葉を聞いた簪は、首から下げている勾玉に気が付いた。
「あれ、こんなの身に着けていたっけ?」
と少し困惑したが、刀奈が、
「似合っているわよ。」
と返したのであまり気にしなかった。そして、二人仲良く手をつなぎながら、両親が待つ処に戻っていった。
薄暗い森の中
祠からキャンプ地に戻る道、ここは今死体の山なっていた。小さな爬虫類から大型の熊や猪、鹿などの野生動物が死体の道と成り果てていた。しかもそれらは、骨と皮だけとなっており、暫くして、調査に入った者の報告だと内臓や細胞片すらなく、文字通り中身がすっからかんであり、どの
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