九校戦編〈上〉
九校戦三日目(1)×事故前後と治療後の面会
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いる様子だった。それに水中には何もいなさそうな感じであるし、監視カメラやレース場付近には蒼い翼関連の人間を立たせてますからね。蒼太がスタートラインへ目を向けると、去年と同じ七高の選手がそこにいた事でやはりと言いたいがどうやって妨害をするかについては起こった後にしか分からない。バンダナで纏めたショートボブの髪を揺らし、摩利さんは既に、スタート姿勢を取っていた。準決勝は一レース三人の二レース。それぞれの勝者が一対一で決勝レースを戦う事になるが、他の二人は緊張で顔を強張らせているが、摩利さんだけは不敵な表情でスタートの合図を待つ。
『用意』
一回目のブザーが鳴ると同時に観客席が静まり返る。二回目のブザーでスタートした三人の選手たち、一真様は水の抵抗を感じないようにして摩利さんの後をつける。先頭はやはり摩利さんだが、予選と違い背後には二番手の選手がピッタリついている。少し遅れて三番手。
「やはり手強い・・・・・!」
「さすがは『海の七高』」
「去年の決勝カードですよね、これ」
激しく波立つ水面は、二人が魔法を撃ち合っている証であり、その後ろを俺である一真がピッタリくっついて来ている。普通ならば先を行く渡辺先輩の方が引き波の相乗効果で有利になるが七高選手は巧みなボード捌きで魔法の不利を補っている。スタンド前の長い蛇行ゾーンを過ぎれば問題はないはずだが、俺の未来予知と直勘は当たるからな。そこからはスクリーンによる観戦となる。蒼太は大型ディスプレイではなく、渡辺先輩を凝視していた。
「あれは!」
小さな異常に即座に反応したのは、蒼太だったが深雪達も分かったようだった。
「オーバースピード!?」
観客たちの誰かがそう言った時に、蒼太は風の精霊加護により七高の会話を聞いていた。それを通信機で聞く。
『何で!?速度が落ちないっ、この先はカーブなのに』
やはりデバイスに細工をされていたような会話だったのを、聞き逃ししなかった蒼太。
「そのままだとフェンスに突っ込むぞ!」
ボードは水を掴んでいないようだから、飛ぶような感じで七高選手はどんどん加速していく。前に誰もいなければの話だが、渡辺先輩は減速を終えて次の加速を始めたばかりであった。背後から迫る気配に気付くと、咄嗟にボードの加速をキャンセルし、水平方向の回転加速に切り替える。水路壁から波を利用し、魔法と体さばきの複合でボードを半転させる。
「凄い!魔法と体さばきでボードを半転させた!」
暴走状態となった七高選手を受け止めるために、新たに二つの魔法をマルチキャスト。突っ込んで来るボードを弾き飛ばす為の移動魔法と、相手を受け止める衝撃で自分がフェンスへ飛ばされないようにする為の加重系・慣性中和魔法。そのままだったら事故を回避でき
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ