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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
挿話 出会いと別れの街
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。
「もしや近頃の生活精霊術の失敗はその黒匣が原因ですか」
「勘がいいな、ローエン。その通りだ。精霊と共生するリーゼ・マクシアにおいて『精霊を殺す』異端の技術――が、ふんだんに盛り込まれているのが、〈クルスニクの槍〉だ」
「精霊を殺す……兵器」
一気に深刻さを呈するクレインとローエン。霊力野があり精霊を肌で感じられるリーゼ・マクシア人だ。理屈抜きに恐怖しているかもしれない。
「兵器版〈クルスニクの槍〉は発動すると周囲のマナを搾取、略奪する。幸いにして、ある人物が〈カギ〉を外して隠してくれたから本格始動まで猶予はあるが」
ある人物、にイバルが反応したが、騒がなかった。大いに助かるが、心配にもなる。私が知る〈イバル〉とギャップが開きすぎて。
「バーミア峡谷や各地での人体実験は、それに関連していますか」
肯く。フェイリオによると、バーミア峡谷での実験は新しい起動キーの生成のためだったらしい。起動キーを奪ったアドバンテージがなくなった今、こちらもうかうかできない。
「――――」
「旦那様。どうか、逸らず」
「……ああ。僕がいくら憂慮しようが実験に使われる人々が救われるわけじゃない。分かってる。それでも、」
拳の甲を口元に当てて握りしめる。クレインが大きな決断をする前のクセだ。
「――。ナハティガルは〈槍〉の性質を承知の上で造らせていると見ていい。兵器の厄介な所は、製造法さえ残っていれば、技術者を抹殺してもまた造れるという点にある。現に私は一度、転用開発された携帯版の〈槍〉と戦っている」
過去にあの兵器でミュゼの術が消されるのをこの目で見た。小型版で精霊の主の姉を無力化できたんだ。本家がお出ましになればどれほどの悪夢か。
「もし〈槍〉を完全破棄するなら、ナハティガル王から〈槍〉を使う意思をなくさせた上で、製造法を闇に葬る必要があるという事ですね」
分かりやすいまとめ、助かるよ、ローエン。
「単純な破壊よりよほど難しいですな……」
「だがそれを超えた先にしか、謀反を起こした我々に真の勝利はない。――そうおっしゃるのですね、ヴィクトルさん」
気負いを感じさせない、クレインの確認。自分たちが超えるべき壁の高さを分かっていてなお、やるのだと。
ミラに通ずる所があるよ。それが君の軸なんだな。できる、できないではない。やるか、やらないか。
正史では生きていない青年。正史では起きなかった展開。
偏差が生じないようにと今日まで監視してきたが、お構いなしに大きな変化は訪れた。
まるで歴史の必然のように。
もう止まらないのかもしれない。時代は動き出してしまった。
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