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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
挿話 出会いと別れの街
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イスの腰を抱き寄せる。だからって別に恋愛感情はねーぞ。欲情もしねえ。俺がリーゼ・マクシアでその手の気持ちにさせられたのはプレザだけだ。
子供時代に母親に甘えられなかったガキの代償行為。メイスと抱き合ってる間だけ、俺は幻の母親に甘えられる。
「それでもウソだと思うなら一度シャン・ドゥに戻ってくれば、いい。人間関係は結局、誠意と信頼で構築してくものだって、分かるから」
「……分かったよ。そろそろお袋の具合も気になってたし、いっぺん顔出すわ」
「レティシャお母様も喜ぶわ」
メイスはマスクを被り直すと、何事もなかったように巡回の兵士の中に紛れて消えた。
あいつはこのまま何食わぬ顔で砦を出て帰投する。行き先にいるのがガイアスかジランドかは、俺には関係ない話だ。
さて、俺も。あいつらにしばらく抜けるって言いに行かねえとな。
/Victor
〈クルスニクの槍〉を眼前で見た私の証言が欲しい。ローエンはそう言って、私をクレインが駐留に使っている部屋へ連れて行った。イバルも一緒だ。アルヴィンはどうしたって? 彼なら「実家に帰る用が出来た」と言って早々にここを発った。理由が理由で引き留めることもできなかった。
「お待ちしていました、ヴィクトルさん。イバルさんも。かけてください」
客用のテーブルスペースを勧められたので座った。クレインは私の正面だ。ローエンがクレインの後ろに立った。
「ご存じとは思いますが、どれだけ軍の規模が膨れ上がっても覆せない差、それが〈クルスニクの槍〉です。あなたは間近でその威力を見たと聞きます。詳しいお話をお伺いしてもいいですか?」
ああ。君たちになら、喜んで。
「まず前提の話からしよう。これが何か分かるか?」
テーブルに銃をホルスターごと外して置く。
「銃、ですね。初めて見た時から、アルヴィンさんも貴方も珍しい武器を持っておいでだと思っていましたが」
「そう。リーゼ・マクシアでは火薬技術が発達していないから、銃は希少品だと聞く。そもそもこの手の兵器は精霊術とは根本から異なっていてな。炉心になる精霊の化石に空気中のマナを集めて使用する。この技術を
算譜法
(
ジンテクス
)
、
算譜法
(
ジンテクス
)
を起動する装置を
黒匣
(
ジン
)
と呼ぶ」
「
黒匣
(
ジン
)
――」
「私とアルヴィンの故郷では一般的な技術で、生活に欠かせない物だ。だが、黒匣は世界のマナを消費して使う物。マナが減ればその分、精霊の糧も減る」
「つまり黒匣を使えば使うほど精霊が死んでいくんだ。精霊が死ねば当然自然は荒廃する。こいつらは自分で自分の首を絞めているわけだ」
イバル、僧侶憎くば何とやらか? ミラが殲滅した人々は兵器でなく生活用品として黒匣を使っていた人間のほうが多いと教えてやろうか
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