暁 〜小説投稿サイト〜
エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十三話/SIDE-F 風が吹く理由
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ですね。ではアルヴィンさんにもご同行いただきましょう」

 おや。意外とクレインの判断が速かったな。これは――クレイン、それにローエンも、アルヴィンに含み有と見た。二人とも目が笑っていないぞ。


「ドロッセル。イバル。私たちも行こうか」
「とっととすませるぞ」
「そんなつれないこと言わないで。ゆっくり楽しみましょうよ」
「余裕のない男は女に嫌われるぞ」

 ドロッセルと結託してイバルを両脇から掴んで引きずって行く。文句がうるさいが無視だ。




/Fay

 馬車の中にはわたしとアルとクレインさまで乗った。ローエンは御者をするからお外なの。

「入院している人たちも喜びます。精霊の主の見舞いなんて、これを逃したら次は何千年後か分かりませんからね」

 パパの作戦通り、わたしがマクスウェルだってウソは街中に広まってる。これで〈槍〉の中のミラさまがもっと見つけにくくなるといいんだけど。

「そ、そんな大ゲサなことじゃないですっ。ただ…気になったから…マナを奪られた人たち、キズついてないか、不安じゃないかって」
「マクスウェルは人と精霊の守護者――間違いなくフェイリオさんですね」
「すげーだろー、ウチの勝利の女神だぜ。やらねーぞー」

 アルが笑ってわたしの頭を引き寄せて、二人の頭をこっつんこ。ちょっと痛かった、かな?

「あんまそーゆーリッパなキモチでじゃないよ。ただ、重なったから。昔のわたしと」

 アルもクレインさまも首を傾げた。あは、苦笑する以外に思いつかないや。


「わたしも昔は、あんなカンジで毎日、大精霊にマナ剥ぎ取られてたから」


 馬車の中がしん、と静まり返った。

 これを告白するのはハズカシイ。だって、不幸自慢みたいでしょ? できれば言いたくないの。口にする内にいつか、自分のキョーグーに酔ってたフェイに戻ったら。そう考えると怖くて。

「だからって、フェイが何かしてあげられるわけじゃないけど、こわかったね、イタかったね、って言ってあげたい。もうダイジョウブ、イタイのは終わったよ、って安心させてあげたい」

 ふいに、アルがわたしの頭をぐしゃぐしゃってした。

「雪ん子はオトナだな」




/Alvin

「ウソ。フェイ、コドモだもん。ワガママだし、ヤな事いっぱい考えるし」
「んなことねえって。な、若様」
「ええ。僕もフェイリオさんは立派なレディだと思いますよ」

 フェイはでかい袖を両方使って顔を隠した。
 雪ん子雪ん子、ほっぺた隠せても耳が真っ赤だからそれ意味ねーぜ。

「……じゃあ、クレインさまが言ってくれた事、ウソにならないように、フェイ、がんばって本当のオトナになる」
「若様だけ〜? 俺は?」
「アルは……
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ