聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第七幕
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女が携帯端末に写した画面には、確かにアクトのモノと同一の異様にテンションの高い文と、メールアドレス。
だが――――こんなメール、送った覚えないぞ……?
「そう言えば、さっき家の前で変なお兄さんとすれ違ったんですけど……アクトさんのお知り合いですか?」
「は? 俺の知り合い? 何でまたそんな話に」
「だって……あの人、アクトさんの本名を知ってました。 って。」
「―――――ッ!?」
その瞬間。
アクトは、本気で《驚愕》した。一瞬のことで、すぐにどこかへ消えてしまったが、確かに。
――――馬鹿な……!? 何故、俺の最初の名前を、知っている……!?
その名前は、もう誰も知らない名前だった。というかソウも知らないはずなんだが。
「……お前はどうしてそれが俺の本名だと?」
「あのお兄さん、こういったんです。『 君……アクト君が待ってる。急ぎな』って」
「……名前は? 外見特徴でもいい」
「たしか、えーっと……《天宮》さん、って言ったかな。マフラーを巻いて、教会の司祭さんみたいな服の、髪の毛の長いお兄さんでした」
「……」
服装と髪型は違うが――――名前は、間違いなく同じだ。
あいつだ。
《天宮陰斗》だ。
「あの野郎……!」
問いただす。
何がやりたかったのか、問いただす。
アクトは家の外に駆け出そうとする。
「待ってください! あの人、振り返ったらいつの間にかいなくなってました!」
諦めた。
「はぁ……何だったんだ本当に……」
「珍しいですね。アクトさんがそんな反応するなんて」
「たまにはある。本当にワケが分からなかったら、《疑問》なんて感じなくても『疑問』に思うさ……そうだ」
そこでふと思い出して。
アクトは、手に持ったままの長方形のケースを、ソウに渡した。
「……?」
「やるよ。俺は要らないから」
彼女はおずおずとそれを開けて。
「わぁぁっ! すごい……あの、本当にもらっていいんですか!?」
「ああ……」
「すっごく嬉しいです! ありがとうございます! わぁぁ……アクトさんからクリスマスプレゼントだぁ……」
少女が取り出したのは、銀色のペンダントだった。虹色に輝く石が嵌められた。
それを見て目を輝かせる彼女のことを――――
ちょっとだけ、綺麗だな、と思ってしまった。
《感動》なんて、感じないはずなのに。
「……そうか……お前は……」
その時、アクトは《天宮》の望みを余すことなく理解した。
あの男は、一瞬だけとは言え、完全に失われていたはずのアクトの感情を呼び戻したのだ。それがお前へのプレゼン
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